上 下
9 / 55

謎の夢

しおりを挟む
 雫との事があってから俺は頻繁に悪夢の様
な夢を見る様になった、内容まではハッキリ
と覚えていないが、何処となく懐かしい気が
していた、今ハッキリと言える事は夢に出て
くる人物、女性の様な気がする、その女性は
一体何を俺に伝えようとしているのか?

『おはよう聖夜さん!、今日のお客さんの足
並みはどうでしょうかねぇ~?、アレッ?聖
夜さん聞いてますか?』

『ん!?、あっ、ごめん、ごめん!!』

 この通り雫は至って普通だ!!、あの事が
あってからの雫はより明るくなった気がした。

『んも~っ、ちゃんと話を聞いて下さい!!、
それにしても、なんか!?、しっかり寝てい
ますか?、目の下クマが出ていますよ!』

『そうなんだよね~、最近夢にうなされるみ
たいな~、熟睡が出来てなくて・・・』

『それはいけませんねー、一度お医者さんに
診てもらった方が良いのでは?』

『そうなんだけど、医者嫌いでエヘヘへ!』

『そうしたら・・・、滋養をとって様子観て
は?、では今日から夕飯は私のアパートで、
良ければなのですが?、宜しいですか?』

 しっ雫の家で!!・・・、二人きりで!!、
本気か!!、女の子のへっ部屋に行くの、はっ
初めてだな・・・、いっ今から緊張して来た
・・・、どうしよう?、どうしようっじゃな
い!!

『宜しいですっ宜しいですっ!!』

 こうして俺と雫のママゴトの様な夕飯生活
が始まり毎日が夢の様な日々が続いた、そし
て、その幸せぶりを勘付いた人物、そうです、
健ちゃんです。

『ようっ!!、聖夜ぁ~、おっ何か顔色良い
な?、何かこ~、毎日にエネルギーが感じら
れる、そう源となるパワーが伝わってくるな
!!』

『いやっ、あのっ!!、じっ実は』

 俺はやはり正直な感情を表に出せない、こ
んなに良くしてくれる健ちゃんの前でも出せ
ない自分が情けない、俺の心はそうであって
欲しいと願うのに、何故そうであって欲しい
と・・・言えないのか?
しおりを挟む

処理中です...