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第四章 ふたりは恋人! オリビア&リアム

97、オリビア、怒りの咆哮(前編)2

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 一週間前、前日にリアムから婚約指輪をもらったオリビアは気持ちのいい朝を迎えていた。

「うーん、いいお天気」

「オリビア様、おはようございます。朝の支度に参りました」

「おはよう、リタ」

 オリビアはゲストルームでリタに身支度を整えてもらい、リアムの家族と共に朝食をとり、帰りの支度をした。そして、リアムの兄夫婦に見守られながら帰りの馬車に乗った。

「オリビアさん、ぜひまた遊びにきてくれ」

「お待ちしておりますわ!」

「はい。ありがとうございます! お世話になりました!」

 リアムに支えられながら馬車に乗り、彼が兄たちと挨拶しているのを見守る。

「リアム、夏に開かれる王宮の夜会が楽しみだな」

「はい、兄上。待ち遠しいです。義姉上もお元気で」

「ありがとう。リアムさんもお元気で。オリビアさんと仲良くなさってね」

「ありがとうございます! それではまた」

 オリビアは動き出した馬車の窓から、オスカーとエマに手を振り続けた。
 彼らの姿が見えなくなる頃、「またお会いしましょう!」とエマの声が遠くに聞こえ、本当に歓迎されていたのだと実感し嬉しくなった。
 ゆっくりとリアムに支えられながら席に座る。

「本当にまたお会いするのが楽しみですわ。リアム様、お招きいただきありがとうございました」

「私の方こそ来てくれてありがとう。家族を気に入ってもらえて嬉しかった」

「すっかりラブラブだね、ふたりとも。昨日の夜はずいぶん盛り上がったんだろうなあ」

「サイラス!」

 オリビアがリアムとふたりの世界に入りかけたとき、斜め向かいに座るリアムの弟サイラスからの一言で一気に現実に引き戻された。
 そうだ、ここには彼も侍女のリタもいるのだ。込み上げる恥ずかしさで押し黙っていると、かわりにリアムがサイラスを叱った。

「何を言っているんだお前は!」

「ごめんなさあい。なんだか昨日に比べてふたりの雰囲気が変わったからつい」

「私たちは昨夜、庭を散歩していただけだ。からかうのはやめなさい」

「はあい」

 その後も車内は和やかな雰囲気でオリビアはリアム、サイラス、リタと楽しい時間を過ごしながら王都まで戻った。

「それじゃあ僕はこのまま友達のところへ行くね! オリビアお義姉様、またね!」

「サイラス様、またお会いしましょう!」

  友人の元へ行くと言うサイラスと笑顔で別れ、オリビアも学院前でリアムと別れる。

「オリビア嬢、来週の休みまでには陛下から婚約の許可が降りているはずだ。以前の約束通り王都で会わないか?」

「はい、ぜひ。楽しみにしていますわ。……リアム様?」

「離れるのが名残惜しいのに、早く来週になってほしいとも思う。複雑な気持ちだ」

「リアム様……。私もですわ」

「オリビア嬢……」

「…………」

 馬車を降りてから互いの名を呼び合いリアムと見つめ合っていたオリビア。
 リタの生温かい眼差しに気づいたのはしばらく経ってからだった。

>>続く
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