156 / 230
第六章 事件発生
157、チーム・オリビアの休日2
しおりを挟む
その後、朝食を用意して戻ってきたリタ、ジョージと朝食をとり身支度をしたオリビアはソファに身を預けお茶を飲んで一息ついていた。
先ほどまでここを占領していたジョージは小部屋を解放した途端にタブレットに夢中になっている。
「ジョージ、買い物はほどほどにね!」
「へいへい」
「ていうかいつまで買い物しているの? ちょっと見せて」
こちらを振り向きもせず画面にかぶりついているジョージを不審に感じたオリビアは、小部屋の入り口から彼の持つタブレットの画面を覗き込んだ。
ジョージが慌てて画面を隠す。
「うわ、ちょっと勝手に見ないでくださいよ」
「出しなさい、ジョージ」
「…………」
無言でタブレットを差し出すジョージ。オリビアは受け取って画面の確認をする。
「あ、ちょっとこれ何よ。「金、プラチナ買い取ります」って……ジョージ!」
「だって、しゃあないじゃないですか!」
画面には貴金属の買取専門店のホームページが映し出されている。オリビアはすぐに状況を理解し、ジョージを横目で睨みつけた。
「ジョージ、あなたやる気だったわね?」
「だって、今月の出費が……」
「だとしても、ルール違反よ。ジュエリトスのものを勝手にあっちに流してはダメだって言っているでしょう?」
ジョージがまるで苦虫を噛み潰したかのように顔をしかめている。
ジュエリトスは宝石や魔石がよく採れる国で、その採掘の副産物として金や銀、プラチナなどの金属も豊富に採れた。これらは比較的安価で、平民でも十分手に届く額で手に入る。
しかし、異界では高価なものとされ高値がつくのだ。オリビアは仕入れなどに使う金の換金目的で自分が所有している金などを売っていた。もちろん世界の均衡を崩さないよう注意して取引しており、部下にもこの手法で資金を得ることを禁じていた。
なのに今回ジョージは自分が失った約百万エールを埋めようとこの悪事に手を染めようとしていたのだ。
「罰として、今日の件は次回ボーナス査定の材料にさせてもらうわね」
「そ、そんなあ……。そりゃないっすよ、お嬢様~」
情けない声を出して、ジョージはオリビアの足元に崩れ落ちる。それをリタが冷ややかな視線で見下ろしていた。
「オリビア様との約束を守れないとは、やっぱりお前はクソジョージだな」
「なんだよ脳筋女!」
「失礼な! お前なんかこうだ!」
オリビアがまた始まったかとふたりの寸劇に反応すべく振り向くと、リタがジョージの首を腕で締め上げていた。「ぐえ」と苦しそうに呻いてジョージがリタの腕を両手で引き剥がそうとしている。
「もう、ふたりともいいけげんにしなさい!」
「はい、申し訳ありません」
「……ゲホッ。死ぬかと思った」
喉の辺りをさすりながら、ジョージが呟いた。オリビアはそれを見てやれやれと息を吐く。
「ジョージ、どのみちあのまま進んでもあなたに金の売買は無理よ。最後の最後で申し込みができないはず。私たちはそういう契約をしているんだから」
「マジすか~! うわ俺首絞められ損じゃないっすか~」
がっくりと肩を落とすジョージに、オリビアはピシャリと言い放った。
「私の契約魔法を甘く見ないことね」
「わかりましたよ、地道に働けばいいんでしょ?」
「そういうことよ」
大きなため息を吐くジョージにオリビアは口角だけを上げ少しいじわるな笑みを向けた。
>>続く
先ほどまでここを占領していたジョージは小部屋を解放した途端にタブレットに夢中になっている。
「ジョージ、買い物はほどほどにね!」
「へいへい」
「ていうかいつまで買い物しているの? ちょっと見せて」
こちらを振り向きもせず画面にかぶりついているジョージを不審に感じたオリビアは、小部屋の入り口から彼の持つタブレットの画面を覗き込んだ。
ジョージが慌てて画面を隠す。
「うわ、ちょっと勝手に見ないでくださいよ」
「出しなさい、ジョージ」
「…………」
無言でタブレットを差し出すジョージ。オリビアは受け取って画面の確認をする。
「あ、ちょっとこれ何よ。「金、プラチナ買い取ります」って……ジョージ!」
「だって、しゃあないじゃないですか!」
画面には貴金属の買取専門店のホームページが映し出されている。オリビアはすぐに状況を理解し、ジョージを横目で睨みつけた。
「ジョージ、あなたやる気だったわね?」
「だって、今月の出費が……」
「だとしても、ルール違反よ。ジュエリトスのものを勝手にあっちに流してはダメだって言っているでしょう?」
ジョージがまるで苦虫を噛み潰したかのように顔をしかめている。
ジュエリトスは宝石や魔石がよく採れる国で、その採掘の副産物として金や銀、プラチナなどの金属も豊富に採れた。これらは比較的安価で、平民でも十分手に届く額で手に入る。
しかし、異界では高価なものとされ高値がつくのだ。オリビアは仕入れなどに使う金の換金目的で自分が所有している金などを売っていた。もちろん世界の均衡を崩さないよう注意して取引しており、部下にもこの手法で資金を得ることを禁じていた。
なのに今回ジョージは自分が失った約百万エールを埋めようとこの悪事に手を染めようとしていたのだ。
「罰として、今日の件は次回ボーナス査定の材料にさせてもらうわね」
「そ、そんなあ……。そりゃないっすよ、お嬢様~」
情けない声を出して、ジョージはオリビアの足元に崩れ落ちる。それをリタが冷ややかな視線で見下ろしていた。
「オリビア様との約束を守れないとは、やっぱりお前はクソジョージだな」
「なんだよ脳筋女!」
「失礼な! お前なんかこうだ!」
オリビアがまた始まったかとふたりの寸劇に反応すべく振り向くと、リタがジョージの首を腕で締め上げていた。「ぐえ」と苦しそうに呻いてジョージがリタの腕を両手で引き剥がそうとしている。
「もう、ふたりともいいけげんにしなさい!」
「はい、申し訳ありません」
「……ゲホッ。死ぬかと思った」
喉の辺りをさすりながら、ジョージが呟いた。オリビアはそれを見てやれやれと息を吐く。
「ジョージ、どのみちあのまま進んでもあなたに金の売買は無理よ。最後の最後で申し込みができないはず。私たちはそういう契約をしているんだから」
「マジすか~! うわ俺首絞められ損じゃないっすか~」
がっくりと肩を落とすジョージに、オリビアはピシャリと言い放った。
「私の契約魔法を甘く見ないことね」
「わかりましたよ、地道に働けばいいんでしょ?」
「そういうことよ」
大きなため息を吐くジョージにオリビアは口角だけを上げ少しいじわるな笑みを向けた。
>>続く
0
あなたにおすすめの小説
清楚な執事長、常駐位置が“お嬢様の隣”に確定しました
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話・後日談12話⭐︎
清楚で完璧、屋敷の秩序そのもの——そんな執事長ユリウスの“常駐位置”が、なぜか私の隣に確定しました。
膝掛けは標準装備、角砂糖は二つ、そして「隣にいます」が口癖に。
さらに恐ろしいことに、私が小声で“要求”すると、清楚な笑顔で「承知しました」と甘く返事をしてくるのです。
社交は上品に、恋心は必死に隠したい。
なのに執事長は、恋を“業務改善”みたいに制度化して逃がしてくれない——!
むっつり令嬢の乙女心臓が限界を迎える、甘々コメディ恋愛譚。
清楚な顔の執事長が、あなたの心臓まで囲い込みにきます。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
王宮地味女官、只者じゃねぇ
宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。
しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!?
王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。
訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ――
さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。
「おら、案内させてもらいますけんの」
その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。
王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」
副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」
ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」
そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」
けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。
王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。
訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る――
これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。
★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
死んでるはずの私が溺愛され、いつの間にか救国して、聖女をざまぁしてました。
みゅー
恋愛
異世界へ転生していると気づいたアザレアは、このままだと自分が死んでしまう運命だと知った。
同時にチート能力に目覚めたアザレアは、自身の死を回避するために奮闘していた。するとなぜか自分に興味なさそうだった王太子殿下に溺愛され、聖女をざまぁし、チート能力で世界を救うことになり、国民に愛される存在となっていた。
そんなお話です。
以前書いたものを大幅改稿したものです。
フランツファンだった方、フランツフラグはへし折られています。申し訳ありません。
六十話程度あるので改稿しつつできれば一日二話ずつ投稿しようと思います。
また、他シリーズのサイデューム王国とは別次元のお話です。
丹家栞奈は『モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します』に出てくる人物と同一人物です。
写真の花はリアトリスです。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる