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第六章 事件発生

158、チーム・オリビアの休日3

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 それからオリビアは昼食も従者たちと部屋でとり、クリスタル領にいるセオと仕事の話をして過ごしていた。外を眺めると下校する生徒たちが寮や校外に向かって歩いている。

「あら、もう放課後なのね」

「そろそろお茶とお菓子をお待ちしましょうか?」

「よろしく~」

「お前には言っていない、オリビア様に言ったんだ!」

「け~ち」

 朝はあんなにいい雰囲気だったのにすっかりいつも通りの小競り合いをはじめた彼らに呆れつつ、オリビアがふたりをなだめようとしたタイミングで、ドアを叩く音が聞こえる。

「ん? 誰かしら……」

「オリビア様、私が出ますね」

 急いで小部屋を閉め、入り口に向かうリタと一緒にオリビアもドアの前に立った。

「オリビア嬢、僕だ」

「え、この声は……まさか……」

 聞き覚えがある高貴な声に、オリビアはぴくりと頬が引きつった。

「レオンだ。体調不良で休みだと聞いたが大丈夫なの?」

「レ、レオン殿下?」

 小声で「どうしよう」と囁きリタに出たくないという意思を伝えてみるが、彼女は静かに頷いた。どうやらレオンを通さないわけにはいかないようだ。オリビアは仕方なく頷き返した。

 そして、リタが部屋のドアを開ける。

「やあ、思ったより元気そうじゃないか。失礼するよ」

「はい。レオン殿下、わざわざご足労いただきありがとうございます」

「見舞いの菓子も持ってきたよ。ハリー」

「はい」

 レオンが話しながら室内に入っていく。護衛のハリーに菓子が入った袋を渡され、リタがぺこりと軽く頭を下げた。

「ん? ヘマタイト君じゃないか! ここは女子寮だろう。君までどうしたんだい?」

「特別に滞在の許可はもらっています」

 机の近くに立っていたジョージがレオンに一礼する。

「そうなんだ。なんだか君たち昨日は大変だったみたいじゃないか」

 レオンがソファに座り、リタが急いでお茶を入れる準備をした。オリビアは彼の向かいのソファに座り、彼の問いに答える。

「ええ。昨日中に解決していますが、夜遅かったためシルベスタ先生の許可をいただき本日はお休みをいただきました。なので表向きは体調不良としましたが平気です。お気遣いいただき恐縮ですわ」

「ふうん、そう……」

 オリビアは当たり障りのない程度にとどめて言葉を返したが、レオンの反応が薄いことから次の問いかけに警戒した。それにこの部屋には小部屋もある。レオンには早くお帰りいただきたいというのが本音だ。

「ちなみに昨日は君の侍女が行方不明になったと聞いたけど、彼女のことかな?」

「は、はい。そうです。私付きの侍女でリタと申します」

 オリビアの紹介に、リタがレオンに向けて深く一礼した。そしてお茶を淹れて彼の前に差し出す。

>>続く
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