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第八章 決戦!ペリドット領
204、領民の苦悩
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食器店を出たオリビア一行は、近くにあった菓子店に入った。
「いらっしゃいませ。試食もありますので気になるものがあればお声がけください」
カウンターに立つ若い女性店員が、明るい笑顔でオリビアたちを迎えた。店内は菓子の甘い香りが広がっており、クッキーやケーキなどの焼き菓子が並んでいる。オリビアは鼻から大きく息を吸い、バターや小麦の香ばしさを感じてうっとりと目を細めた。
「おいしそうなお菓子ばかりね。家族にお土産を買いたいのだけれど、おすすめは何かしら?」
「ありがとうございます。こちらのフィナンシェがおすすめです。ぜひお召し上がりください」
店員はオリビアたち四人に一口サイズに切ったフィナンシェを渡した。オリビアは彼女から笑顔で菓子を受け取り、「いただきます」と言って 口に放り込む。口の中に芳醇なバターとアーモンドの風味が広がる。甘さも相まって思わず顔が綻んだ。
「おいしい。こちらをいただくわ!」
「ありがとうございます!」
女性はにこにこと笑顔を絶やさず、フィナンシェを箱詰めし始めた。他の商品も見つつ、オリビアは彼女にも価格について尋ねてみることに。
「この店の商品は値上げが済んでいるのかしら?」
オリビアの問いかけに、女性は「はい」と眉を下げ困ったような笑みを浮かべた。
「そうなんです。お客様、広場の看板はご覧になりましたか?」
「見たわ。来月から二割も増税するのよね」
「はい。売上からの徴税はもちろんですが、材料の仕入れ価格も増税に伴って上がってしまって。お客様には申し訳ないのですが値上げさせていただいております」
「いいえ、それは構わないの。急な増税で大変よね。聞いてみただけなので気を悪くしないで。さっきも食器店で尋ねたら、店員さんを怒らせてしまって……」
女性が困り顔のまま申し訳なさそうに俯いた。オリビアは慌てて首を横に振り彼女に詫び入れる。すると女性は顔を上げ、苦笑しながら返事をした。
「うちと違って食器は単価が高いので……値上げでかなり売り上げが落ちたみたいです。それで少し神経質になっているのだと思います」
「なるほどね」
その後、オリビアは雑貨店やブティックなども見てまわり、概ね価格が相場より三割から四割程度上がっていることを確認し、市街地を出ることにした。帰りの馬車に乗り込み、従者たちと顔を見合わせ肩を落とす。
「なんだか気の毒だったわね、お店のみんなが」
「ええ。仕入れ値と徴税、どちらも増しては値上げは避けられませんよ」
「確かにね~。食器屋のお姉さんがかっかしてたのも納得っす」
「本当に。でも、結局増税の理由は分からなかったですね。オリビア様?」
口々にペリドット領民へ同情する言葉を口にする。最後にリタが胸の前で腕を組み、眉を寄せた。彼女の発言にセオもジョージも首をひねる。確かにそうだ。結局増税の理由はわからないままだ。オリビアにはひとつ心当たりがあったので、三人に向かう。
「騎士団の演習場を見てから帰りましょう。きっと貴族院には演習場の修復で増税の申告をしているはず。それに演習場への道は封鎖されているから、きっと何かあるわ」
「なるほど。そういえば演習場は騎士団ではなくペリドット領主の持ち物です」
「じゃあ、行きますか」
「気をつけて行きましょう!」
領地の増税は領主の権限で行えるが、貴族院への申告が必要だった。なんとなく増税することはできない。騎士団の隊長クラスはほぼ貴族家出身だ。演習場の件と申告してしまえば、増税や、あわよくば寄付も受けられるだろう。確信があるわけではないが、演習場には何かある。そう思いながらオリビアは従者たちと演習場を目指した。
>>続く
「いらっしゃいませ。試食もありますので気になるものがあればお声がけください」
カウンターに立つ若い女性店員が、明るい笑顔でオリビアたちを迎えた。店内は菓子の甘い香りが広がっており、クッキーやケーキなどの焼き菓子が並んでいる。オリビアは鼻から大きく息を吸い、バターや小麦の香ばしさを感じてうっとりと目を細めた。
「おいしそうなお菓子ばかりね。家族にお土産を買いたいのだけれど、おすすめは何かしら?」
「ありがとうございます。こちらのフィナンシェがおすすめです。ぜひお召し上がりください」
店員はオリビアたち四人に一口サイズに切ったフィナンシェを渡した。オリビアは彼女から笑顔で菓子を受け取り、「いただきます」と言って 口に放り込む。口の中に芳醇なバターとアーモンドの風味が広がる。甘さも相まって思わず顔が綻んだ。
「おいしい。こちらをいただくわ!」
「ありがとうございます!」
女性はにこにこと笑顔を絶やさず、フィナンシェを箱詰めし始めた。他の商品も見つつ、オリビアは彼女にも価格について尋ねてみることに。
「この店の商品は値上げが済んでいるのかしら?」
オリビアの問いかけに、女性は「はい」と眉を下げ困ったような笑みを浮かべた。
「そうなんです。お客様、広場の看板はご覧になりましたか?」
「見たわ。来月から二割も増税するのよね」
「はい。売上からの徴税はもちろんですが、材料の仕入れ価格も増税に伴って上がってしまって。お客様には申し訳ないのですが値上げさせていただいております」
「いいえ、それは構わないの。急な増税で大変よね。聞いてみただけなので気を悪くしないで。さっきも食器店で尋ねたら、店員さんを怒らせてしまって……」
女性が困り顔のまま申し訳なさそうに俯いた。オリビアは慌てて首を横に振り彼女に詫び入れる。すると女性は顔を上げ、苦笑しながら返事をした。
「うちと違って食器は単価が高いので……値上げでかなり売り上げが落ちたみたいです。それで少し神経質になっているのだと思います」
「なるほどね」
その後、オリビアは雑貨店やブティックなども見てまわり、概ね価格が相場より三割から四割程度上がっていることを確認し、市街地を出ることにした。帰りの馬車に乗り込み、従者たちと顔を見合わせ肩を落とす。
「なんだか気の毒だったわね、お店のみんなが」
「ええ。仕入れ値と徴税、どちらも増しては値上げは避けられませんよ」
「確かにね~。食器屋のお姉さんがかっかしてたのも納得っす」
「本当に。でも、結局増税の理由は分からなかったですね。オリビア様?」
口々にペリドット領民へ同情する言葉を口にする。最後にリタが胸の前で腕を組み、眉を寄せた。彼女の発言にセオもジョージも首をひねる。確かにそうだ。結局増税の理由はわからないままだ。オリビアにはひとつ心当たりがあったので、三人に向かう。
「騎士団の演習場を見てから帰りましょう。きっと貴族院には演習場の修復で増税の申告をしているはず。それに演習場への道は封鎖されているから、きっと何かあるわ」
「なるほど。そういえば演習場は騎士団ではなくペリドット領主の持ち物です」
「じゃあ、行きますか」
「気をつけて行きましょう!」
領地の増税は領主の権限で行えるが、貴族院への申告が必要だった。なんとなく増税することはできない。騎士団の隊長クラスはほぼ貴族家出身だ。演習場の件と申告してしまえば、増税や、あわよくば寄付も受けられるだろう。確信があるわけではないが、演習場には何かある。そう思いながらオリビアは従者たちと演習場を目指した。
>>続く
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