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6章
先生たち
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振り向くと、白髪を編み込みにして、花柄のワンピースを着たおばあさんが立っていた。
遠藤先生だ!
「……だれ?」
佐倉くんが小声できいてくる。
「あの……まりんのピアノの先生。私も昔みてもらってた……」
佐倉くんが「あぁ」と言って、遠藤先生に「こんにちは」とあいさつした。
「お久しぶりです……遠藤先生」
ぺこりと頭を下げると、遠藤先生がしわしわの顔で笑った。
「れいんちゃん、しばらく見ない間に大きくなって! この前もお家にお邪魔したけど、れいんちゃんは留守みたいだったから残念だったのよ」
ううっ。わざと留守にしたなんて言えない。
でも……なんだろ?
私と会えてすごく喜んでくれてる?
私の記憶の中では、遠藤先生は怒った顔なのに、目の前の遠藤先生はニコニコ優しい。
「あら? 春名さんのおばあさま?」
並木先生が眼鏡のフチを持ち上げた。
「いえ、ピアノの先生です」
「あら! そうなの! はじめまして。春名さんの学校で教師をしています、並木です」
並木先生が深々と頭を下げると、遠藤先生も頭を下げた。
「じゃあ、私は友人の所に行ってくるわ。失礼しますね」
並木先生が私たちに気をつかうように去っていった。
遠藤先生は並木先生が見えなくなるまで、じいっと見てそのまま動かない。
「遠藤先生、まりんの演奏、一番最後ですね」
声をかけると、遠藤先生はハッとしたように私に視線を向けた。
「そうそう。でも、今日は私、遠方で演奏会があって結果発表まで見られないのよ。まりんちゃんの演奏が終わったらすぐに空港へ行くの。れいんちゃん、応援してあげててね」
遠藤先生はほほえんだ後、カバンを探り始めた。
「まりんちゃんには渡したんだけど、れいんちゃんにも渡しておこうかしら」
遠藤先生はカバンから、小さな包みを出してきた。
「はい。これどうぞ。お守りみたいなものよ。困った時、使いなさい」
「困った時?」
「そう。例えば……オバケに会った時とかね。それじゃあ、またね」
遠藤先生はふっと笑って、階段の方へ歩いていった。
「優しそうなおばあちゃん先生だな。春名さんが言ってた遠藤先生のイメージとずいぶんちがうけど……」
「うん。遠藤先生、昔の記憶とちがうなぁ。練習の時の厳しいイメージしかなかったから」
苦笑いすると、佐倉くんもつられて笑った。
「小さい頃の記憶って、あいまいだしな」
そっかぁ。そう言えば、練習の時以外は、遠藤先生、優しかった気がする。
こうやって普通に話すなら、遠藤先生と会っても大丈夫だなぁ。
ぼんやり遠藤先生が上がっていった階段を見てると、ぐいっと腕を引っ張られた。
「春名さん、あっち! あっち見て!」
佐倉くんが指さす方を見て、顔が固まった。
天井をはうように黒い雲が泳いでる!
「わっ。早速いた!」
「春名さん、追いかけよう!」
遠藤先生だ!
「……だれ?」
佐倉くんが小声できいてくる。
「あの……まりんのピアノの先生。私も昔みてもらってた……」
佐倉くんが「あぁ」と言って、遠藤先生に「こんにちは」とあいさつした。
「お久しぶりです……遠藤先生」
ぺこりと頭を下げると、遠藤先生がしわしわの顔で笑った。
「れいんちゃん、しばらく見ない間に大きくなって! この前もお家にお邪魔したけど、れいんちゃんは留守みたいだったから残念だったのよ」
ううっ。わざと留守にしたなんて言えない。
でも……なんだろ?
私と会えてすごく喜んでくれてる?
私の記憶の中では、遠藤先生は怒った顔なのに、目の前の遠藤先生はニコニコ優しい。
「あら? 春名さんのおばあさま?」
並木先生が眼鏡のフチを持ち上げた。
「いえ、ピアノの先生です」
「あら! そうなの! はじめまして。春名さんの学校で教師をしています、並木です」
並木先生が深々と頭を下げると、遠藤先生も頭を下げた。
「じゃあ、私は友人の所に行ってくるわ。失礼しますね」
並木先生が私たちに気をつかうように去っていった。
遠藤先生は並木先生が見えなくなるまで、じいっと見てそのまま動かない。
「遠藤先生、まりんの演奏、一番最後ですね」
声をかけると、遠藤先生はハッとしたように私に視線を向けた。
「そうそう。でも、今日は私、遠方で演奏会があって結果発表まで見られないのよ。まりんちゃんの演奏が終わったらすぐに空港へ行くの。れいんちゃん、応援してあげててね」
遠藤先生はほほえんだ後、カバンを探り始めた。
「まりんちゃんには渡したんだけど、れいんちゃんにも渡しておこうかしら」
遠藤先生はカバンから、小さな包みを出してきた。
「はい。これどうぞ。お守りみたいなものよ。困った時、使いなさい」
「困った時?」
「そう。例えば……オバケに会った時とかね。それじゃあ、またね」
遠藤先生はふっと笑って、階段の方へ歩いていった。
「優しそうなおばあちゃん先生だな。春名さんが言ってた遠藤先生のイメージとずいぶんちがうけど……」
「うん。遠藤先生、昔の記憶とちがうなぁ。練習の時の厳しいイメージしかなかったから」
苦笑いすると、佐倉くんもつられて笑った。
「小さい頃の記憶って、あいまいだしな」
そっかぁ。そう言えば、練習の時以外は、遠藤先生、優しかった気がする。
こうやって普通に話すなら、遠藤先生と会っても大丈夫だなぁ。
ぼんやり遠藤先生が上がっていった階段を見てると、ぐいっと腕を引っ張られた。
「春名さん、あっち! あっち見て!」
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「わっ。早速いた!」
「春名さん、追いかけよう!」
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