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6章
まりんの演奏
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順調にプログラムが進んでいく。
同じくらいの年の子も、年配の人も、きっとこの日のために練習してきたんだろうな。
ぼんやりしてるとか、急に倒れたとか、様子がおかしい人はここまではいない。
きっと、オトダマ食いもたくさん人がいたから、だれかのオトダマを食べることができなかったんじゃないかな。
プログラムもいよいよ後半。難しい曲ばかりになってきた。
まりんはこんなすごい人たちの中で、毎年金賞をとってるんだ。
まりんの順番が近づくたび、心臓がどきどきしてしょうがなかった。
「最後になりました。三十一番 春名まりんさん。曲は『光源』です」
アナウンスが流れて、ごくっとつばをのみこんだ。
確かまりんが今から弾く『光源』は、遠藤先生のお友達の先生が作曲したものだっけ。
毎日毎日、家でまりんの練習をきいてきたから、どんな曲かは分かってるけど、こんな大きなホールでどんな風に響くんだろう?
そう思ったら、不思議とワクワクしてきた。
舞台袖からまりんが出てきた。
髪は、丁寧な編み込みのアップ。水色のドレスの裾についたレースがふわふわゆれる。
毎年出てるまりんでも緊張してるのかな。ライトに当たったまりんの顔は、少し青白く見えた。
まりんは一礼を終えた後、ピアノの前に座って、両手を鍵盤の上に置いた。
それからしばらく。まりんはぼんやりして、なかなか弾こうとしない。
……集中してるのかな? やっと左手をおろして、和音が響いた。
小さな、小さな音。
ええと、この前、コハクに教えてもらった。音を小さくという意味の記号は、ピアノとかピアニッシモとかがあるって。
はじめはそんな風に弾くのかな。
そう思ってたけど、曲の中盤になってもかすかな音しか聞こえてこなかった。
きこえてくる音は、芯がないような小さな音。
メロディに強弱がなく、家できいてた曲とはまったくちがう曲みたい。
ただ無表情で弾くまりんの横顔を見て、胸の奥がざわざわしてきた。
舞台の真ん中で幽霊がピアノを弾いてるみたい。
まさか。
まさかそんなことないよね。
何度も自分に言い聞かせるけど、違和感がどんどん大きくなってくる。
「なにこれ? やる気あるのかな? 今、弾いてるのってあの春名まりんだよね?」
周りに座ってる人のひそひそ声が耳を障る。
まりんは最後まで弾き切ったけど、向けられた拍手はまばら。
まりん、変だ。いつものまりんじゃない。
もしかしてっていう考えがふつふつとわいてきて、頭の端っこがしびれたみたいになる。
だって、今のって……この前のメイちゃんみたい。
同じくらいの年の子も、年配の人も、きっとこの日のために練習してきたんだろうな。
ぼんやりしてるとか、急に倒れたとか、様子がおかしい人はここまではいない。
きっと、オトダマ食いもたくさん人がいたから、だれかのオトダマを食べることができなかったんじゃないかな。
プログラムもいよいよ後半。難しい曲ばかりになってきた。
まりんはこんなすごい人たちの中で、毎年金賞をとってるんだ。
まりんの順番が近づくたび、心臓がどきどきしてしょうがなかった。
「最後になりました。三十一番 春名まりんさん。曲は『光源』です」
アナウンスが流れて、ごくっとつばをのみこんだ。
確かまりんが今から弾く『光源』は、遠藤先生のお友達の先生が作曲したものだっけ。
毎日毎日、家でまりんの練習をきいてきたから、どんな曲かは分かってるけど、こんな大きなホールでどんな風に響くんだろう?
そう思ったら、不思議とワクワクしてきた。
舞台袖からまりんが出てきた。
髪は、丁寧な編み込みのアップ。水色のドレスの裾についたレースがふわふわゆれる。
毎年出てるまりんでも緊張してるのかな。ライトに当たったまりんの顔は、少し青白く見えた。
まりんは一礼を終えた後、ピアノの前に座って、両手を鍵盤の上に置いた。
それからしばらく。まりんはぼんやりして、なかなか弾こうとしない。
……集中してるのかな? やっと左手をおろして、和音が響いた。
小さな、小さな音。
ええと、この前、コハクに教えてもらった。音を小さくという意味の記号は、ピアノとかピアニッシモとかがあるって。
はじめはそんな風に弾くのかな。
そう思ってたけど、曲の中盤になってもかすかな音しか聞こえてこなかった。
きこえてくる音は、芯がないような小さな音。
メロディに強弱がなく、家できいてた曲とはまったくちがう曲みたい。
ただ無表情で弾くまりんの横顔を見て、胸の奥がざわざわしてきた。
舞台の真ん中で幽霊がピアノを弾いてるみたい。
まさか。
まさかそんなことないよね。
何度も自分に言い聞かせるけど、違和感がどんどん大きくなってくる。
「なにこれ? やる気あるのかな? 今、弾いてるのってあの春名まりんだよね?」
周りに座ってる人のひそひそ声が耳を障る。
まりんは最後まで弾き切ったけど、向けられた拍手はまばら。
まりん、変だ。いつものまりんじゃない。
もしかしてっていう考えがふつふつとわいてきて、頭の端っこがしびれたみたいになる。
だって、今のって……この前のメイちゃんみたい。
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