ミュージック・れいん

森野ゆら

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7章

タクトの反応

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「いらっしゃいませ……って、なんだ凪とれいんか」

 コハクがはたきの手を止め、かわりにしっぽをパタパタさせた。

「コハク! 教えて! 何か分かったんでしょ? 詳しく教えて!」

 つかみかかると、「ぐえっ」とコハクが変な声を出した。

「大変だったの! オトダマ食いがいたんだよ!」

 今、あったコンクールでのまりんの様子、メイちゃんのことも話したら、コハクは耳をぴょこぴょこ動かした。

「ほっほー。それはオトダマ食いの可能性が高いなぁ。で、れいんがやる気になったのか」

 ニヤニヤするコハクに私はむっとする。

「……しょうがないじゃない。友達とまりんがひどい目にあってるんだよ? だから、もっとタクトを使いこなせるようにしたいの! 音符ちゃんたち、すっごくのんびり屋で黒い雲に全然追いつかなかったから!」

「まぁ、主人がぼやぼやしてるからしょうがないよな~」

「コハク~!」

 コハクに再びつかみかかると、佐倉くんが間に入ってきた。

「まぁまぁ。春名さん、落ち着いて。ところで、コハク。新しく何か分かったんだろ?」

「おう。タクトのことが書いてある本がもう一冊あったんだ。呪文みたいなのも書いてあったぞ」

「呪文?」

 私と佐倉くんが声を合わせてきき返す。

「書庫に来てもらった方が早いな。お前たち、ついてこい」

 私につかまれて乱れた毛並みを直しながら、コハクが奥へと歩いていった。

「書庫なんてあるの?」

「あぁ。小さな部屋だけど、けっこうたくさん本がある」

 そっかー。佐倉くん、書庫で本を読んだって言ってたっけ。
 前に練習した広い部屋の更に奥。そこが書庫らしい。
 くすんだ赤色の扉をコハクが開けた。

「うわぁ。この部屋、全部本?」

 広さは教室くらい。四方の壁には、ぎっしりと詰め込まれた本棚。
 真ん中に長机とイスが置いてあるから、ここで読書をしたり書き物をしたりするのかな。
 コハクは目当ての本をどこにしまったか、忘れちゃったみたい。
 私と佐倉くんはイスに座って、コハクが本棚をうろちょろ探してるのを見ていた。

「これだ。これこれ」

 やっとコハクが出してきた本は、ポケットサイズの本。
 表紙に流れるような文字で何か書いてある。いつものごとく、読めない。
 コハクが真ん中辺りをパラリとめくって開いた。

「ここにタクトのことが書いてあるだろ? で、呪文みたいなものが書いてあるんだがな。薄くてよく読めないんだ」

 ほんとだ。何か書いてあるっぽいのに、消えかかっていて全然読めない。

「あれ? 春名さんのカバン、ちょっと光ってない?」

 佐倉くんに言われて、カバンを見る。
 ほんとだ。ふわっと明るくなってる。もしかして、タクトが?
 タクトを取り出すと、やっぱり! ほんのり光を帯びている。
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