タイム・ジャンプ!

森野ゆら

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4 消えたプリン

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 それにしても、今日は何だか散々だった。
 テストの点数はクラス全員に知られるし、給食のお椀をひっくり返して、おかずがちょっとだけになったり、部活で走ってたら何もない所でこけたり。
 はぁ。ついてない日だった。ため息が出ちゃうよ。

 だけど、嫌なことばっかりじゃない!
 今日はなんと私の大好物、「めちゃふわプリン」があるんだから!
 だから、今日あったイヤ~なことなんて、全部帳消し!

「ただいま!」

 家に入って、手洗いとうがいを終わらせたあと、一直線にキッチンへ。
 勢いよく冷蔵庫の扉を開ける……けど。

 ない。

 どこをどう見ても「めちゃふわプリン」の影も形もない。
 雷にうたれたようなショックが体中をかけめぐる。
 冷蔵庫の前にへたり込んだ時、お母さんがキッチンへ入ってきた。

「おかえり、未央。帰ってたの?」

「ただいま。ねぇ、私のプリン知らない?」

「あぁ、プリンならさっき和都が食べてたわよ。まぁ、いつものごとく小屋の方にいるけど」

「おぉぉ……お兄ちゃんめ~!」

「あ、ちょっと待って」

 走っていこうとする私の襟をつかんで、お母さんが引き止める。

「明日、粗大ごみの日なのよ。和都の小屋、物でいっぱいでしょ? ちょっと整理して、いらないものこの袋に入れてもらって」

 そう言って、お母さんはビニール袋を何枚か手渡してきた。
 和都の小屋っていうあやしげな建物は、庭の端っこにある。
 本当は物置小屋として、お父さんが作ったんだけど、お兄ちゃんが気に入っちゃったんだ。今ではすっかりお兄ちゃん専用の小屋。

 いつの頃からか、この小屋に志信がよく遊びに来るようになった。
 公民館の科学教室で、お兄ちゃんと志信は知り合いになったみたいで、幼稚園生の頃からすごく仲良し。
 学校が終わった後や部活帰り、休みの日まで。
 志信は小屋に来て、お兄ちゃんと何かやってる。
 今ではすっかり私は蚊帳の外だけど。
 小さな頃は志信とお兄ちゃんと私、三人で毎日のようにこの庭で遊んでた。
 真ん中に大きなコナラの木があって、落ちてきたどんぐりでままごとしたり、落ち葉で小さなフカフカ山を作ってダイブしたり。

 でも、高学年になるにつれてだんだん遊ばなくなっちゃった。
 志信は塾や剣道があって、ここに来る時間が遅くなったし、お兄ちゃんは小屋にこもって発明品という名のガラクタを作るのに夢中になって、いつしかこの木の下で待ってるのは私だけ。
 もっと一緒に遊びたかったのにってさみしく思ったことは、二人には内緒。
 ぜ~ったい言わない!

 小屋のドアノブに手をかけようとしたら、中からガシャーンと音がした。
 あ、また変なの作って失敗したのかな。 
 お兄ちゃんは、大発明だ! とか言いながら、たいていガラクタを作って、次々にゴミを量産中。
 でも一度、科学工作の賞をもらったことがあるから、お母さんも黙認してるんだよね。
 毎日毎日、失敗しても新しい物を作り続けているのはすごいと思う。
 続けることに関しては、ゆりちゃんの言う通り、お兄ちゃんはもしかして天才なのかもしれない。
 しか~し! 天才だからと言って、私のプリンを勝手に食べるなんて権利、ないんだから!
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