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1 告白したのはだれだ?
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「いってきまーす。うわ、さむっ」
びゅうっと風が吹いて、ぶるるっと体が勝手にふるえる。
十月の後半になると朝はもう寒いなぁ。
マフラーに顔をうずめながら歩いていると、前を歩く学生服の男子に気がついた。
ぴんと伸ばした背すじ。凛とした歩く姿。
「おはよう、志信」
あいさつしながらかけよると、志信はなぜか黙ったまま私を見つめた。
なんだか目がうつろだ。しかもクマがある。
「志信? おはよ?」
「……あぁ、おはよう」
志信は低い声で言うと、うつむいてしまった。
「どうしたの? 調子悪いの?」
お兄ちゃんも風邪でダウンだし、急に寒くなって志信も体調崩したのかな?
顔をのぞきこむと、志信はボソリと答えた。
「ちょっと眠れなかったんだ」
「えっ、どうして? なにかあったの?」
きくと、志信は立ち止まってもう一度私をじーっと見る。
「……どうしたの?」
「なんでもない」
志信は風にかき消されそうな声でこたえると、早足で行ってしまった。
どうしたんだろ。なにかあったのかな。
はっ、そういえば!
きのう、荒木さんからクッキーもらってどうなったんだろう。
十年後の未来に行ったことと、ライカさんが現れたことが衝撃的すぎて、きのうのことぶっ飛んでた。
クッキーの受け渡し現場を思い出したら、また気持ちがずーんと重くなってきた。
考えながら歩いてたら、途中で電信柱にぶつかって鼻をぶつけて、危うく溝にはまりそうになりながら学校へ着いた。
教室へ入ろうとしたら、
「未央! 大変!」
ゆりちゃんが私を見るなり、飛びかかってきた。
「ふぁっ、な、なに? ゆりちゃん」
そのままの勢いで廊下の窓際に追いやられる。
ゆりちゃんはちらっと周りをみながら、私の耳元でささやいた。
「志信くん、きのうだれかに告白されたらしいよ」
「ええっ!」
告白された
その言葉が巨大な岩が降ってきたみたいに、私にのしかかる。
とたんに心臓が痛いくらいバクバクしてきた。
「二組の三井さんがきのうのハロウィン会の後、武道場を通りかかった時に聞いたんだって。そーっと見に行ったら志信くんがぼうぜんとしてたって」
志信がぼうぜん?
じゃあ、さっき様子がおかしかったのは、告白されたことが原因?
しかもきのう眠れなかったって言ってたし。
「だだだ、だれに? だれに告白されたの?」
「それがさ、ちょうど壁があったから、相手の子がだれか分からなかったって。見に行った時には、ぼんやりした志信くんだけだったって言ってた」
だれか分からなかった……って。
ええっ! そこ重要ポイントなのに!
三井さーーん、もうちょっと頑張ってほしかったよぉ。
ゆりちゃんはうーむと考えながら探偵みたいにあごに手を当てて、つぶやく。
「たぶん、荒木さんじゃない?」
「えっ」
ドキリと心臓が大きく鳴る。
確かに。一番可能性がありそうなのは、志信のことが好きだってウワサまで立ってる荒木さんだ。
きのう、クッキー渡してたし、あのあと二人で武道場まで言って話をしたのかもしれない。
でも、志信はモテるから、もしかしたら他の子が告白してきたって可能性もある。
「あ、志信くん」
ゆりちゃんの気まずそうな声に顔をあげると、志信が教室から出てきたところだった。
びゅうっと風が吹いて、ぶるるっと体が勝手にふるえる。
十月の後半になると朝はもう寒いなぁ。
マフラーに顔をうずめながら歩いていると、前を歩く学生服の男子に気がついた。
ぴんと伸ばした背すじ。凛とした歩く姿。
「おはよう、志信」
あいさつしながらかけよると、志信はなぜか黙ったまま私を見つめた。
なんだか目がうつろだ。しかもクマがある。
「志信? おはよ?」
「……あぁ、おはよう」
志信は低い声で言うと、うつむいてしまった。
「どうしたの? 調子悪いの?」
お兄ちゃんも風邪でダウンだし、急に寒くなって志信も体調崩したのかな?
顔をのぞきこむと、志信はボソリと答えた。
「ちょっと眠れなかったんだ」
「えっ、どうして? なにかあったの?」
きくと、志信は立ち止まってもう一度私をじーっと見る。
「……どうしたの?」
「なんでもない」
志信は風にかき消されそうな声でこたえると、早足で行ってしまった。
どうしたんだろ。なにかあったのかな。
はっ、そういえば!
きのう、荒木さんからクッキーもらってどうなったんだろう。
十年後の未来に行ったことと、ライカさんが現れたことが衝撃的すぎて、きのうのことぶっ飛んでた。
クッキーの受け渡し現場を思い出したら、また気持ちがずーんと重くなってきた。
考えながら歩いてたら、途中で電信柱にぶつかって鼻をぶつけて、危うく溝にはまりそうになりながら学校へ着いた。
教室へ入ろうとしたら、
「未央! 大変!」
ゆりちゃんが私を見るなり、飛びかかってきた。
「ふぁっ、な、なに? ゆりちゃん」
そのままの勢いで廊下の窓際に追いやられる。
ゆりちゃんはちらっと周りをみながら、私の耳元でささやいた。
「志信くん、きのうだれかに告白されたらしいよ」
「ええっ!」
告白された
その言葉が巨大な岩が降ってきたみたいに、私にのしかかる。
とたんに心臓が痛いくらいバクバクしてきた。
「二組の三井さんがきのうのハロウィン会の後、武道場を通りかかった時に聞いたんだって。そーっと見に行ったら志信くんがぼうぜんとしてたって」
志信がぼうぜん?
じゃあ、さっき様子がおかしかったのは、告白されたことが原因?
しかもきのう眠れなかったって言ってたし。
「だだだ、だれに? だれに告白されたの?」
「それがさ、ちょうど壁があったから、相手の子がだれか分からなかったって。見に行った時には、ぼんやりした志信くんだけだったって言ってた」
だれか分からなかった……って。
ええっ! そこ重要ポイントなのに!
三井さーーん、もうちょっと頑張ってほしかったよぉ。
ゆりちゃんはうーむと考えながら探偵みたいにあごに手を当てて、つぶやく。
「たぶん、荒木さんじゃない?」
「えっ」
ドキリと心臓が大きく鳴る。
確かに。一番可能性がありそうなのは、志信のことが好きだってウワサまで立ってる荒木さんだ。
きのう、クッキー渡してたし、あのあと二人で武道場まで言って話をしたのかもしれない。
でも、志信はモテるから、もしかしたら他の子が告白してきたって可能性もある。
「あ、志信くん」
ゆりちゃんの気まずそうな声に顔をあげると、志信が教室から出てきたところだった。
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