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6章
本当のこと
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「るり」
声をかけられて、ドキリと心臓がゆれた。
振り向いたら、早玖が立ち上がってこちらを見ていた。
「三味線、弾いてないって言ってたのに、うそつきだね」
意地悪く言うと、早玖が困ったように笑った。
「るりは散歩してたの?」
「ううん。お母さんに買い物頼まれたんだ。川沿いの道歩いてたら、早玖が見えたから……」
「そっか」
早玖はベンチに座って、となりの席をポンポンたたいた。
「ここ、座りなよ」
えっ。
ためらっていると、早玖が苦笑いした。
「嫌われちゃったかな。おれ、イヤなやつだもんな」
「あ、当たり前でしょ? 学園長と生徒会の味方するなんて、わたしの敵……」
言いかけたら、早玖が後ろにふっと視線を投げたあと、いきなり立ち上がって、わたしの方へやってきた。
「ごめん。るり、こっち来て」
早玖はそう言うと、わたしの手をにぎってかけだした。
なに? 突然?
橋の下まで走り、柱の陰に入ると早玖がわたしの手を離した。
「な、なんなの急に」
「しっ。ちょっとだけ静かにしてて」
土手の上の方から、きゃはははとにぎやかな笑い声が聞こえてくる。
あ、あれは生徒会の女子たちだ。
「危なかった。あいつらにるりと一緒にいるところ見られたら、ややこしいからな」
早玖は、ほっとしたように息をついた。
「あいつらって……生徒会の仲間じゃないの?」
「別に。仲間なんて思ってないよ。ま、あともう少しだけ仲間のフリしないといけないけど」
「仲間のフリ?」
全然話が見えてこない。疑うようにじっと見つめると、早玖が頭をかいた。
「ごめん、るりにはイヤな思いさせて。実は、おれが生徒会にいるのは、情報を集めるためなんだ」
「情報?」
「うん。学園長のこと、生徒会の動き、留五郎さんの宝のことをどこまで知ってるか……その情報をゲットするには、生徒会に入るのが一番てっとりばやいだろ?」
「そ、そうだけど」
「一生徒が生半可にたてついたって、何も変わらない。おれは一年の時に痛いほどよくわかったんだ。学園長、PTA、生徒会……あいつらと戦おうと思ったら、それなりの策が必要だって」
「早玖だけに?」
「いや、今、そのダジャレいらないだろ。ミドリくんがいたら、ツッコミいれてくれるけど」
急にミドリくんの名前が出てきてびっくり。
「早玖、ミドリくんと仲いいの?」
「うん。ミドリくんと月都とは協力しあってるんだ。隠し部屋の茶室も知ってるよ」
「ええっ! そうだったの? あ、だからわたしがミドリくんに連れていかれそうになった時も知らんぷりだったの?」
「うん。あの時のるり、すごく悲壮な顔してたから、悪いなと思ったけど」
「あの時、見捨てられたって思ったよ」
むすっとして言うと、早玖が申し訳なさそうに笑った。
「悪い悪い。でも、るりをゴタゴタに巻き込みたくかったんだ。だけど、生徒会にのりこむし、文化祭の許可をとりに学園長に直談判にくるし」
「だって……わたし、どうしてもじいちゃんがいた時の学園に戻したいって思ったから。荒れたままで廃校なんて、絶対イヤだったから」
「おれも同じだよ」
早玖が優しくうなずいた。
あ、昔の早玖だ。
わたしが元気がない時、話をきいてくれたり、外へ遊びに連れ出してくれた時のやわらかい表情。
「るりががんばって文化祭の許可をもらってくれたし、文化祭、成功してびっくりさせてやろう。学園長も、生徒会も」
「うん」
うなずいたけど、まだ信じられない気持ちでいっぱい。
早玖もがんばってくれてたんだ。わたしよりもずいぶん前から。
何だかうれしくて、じわっとまぶたの奥が熱くなってくる。
そんなわたしに早玖が穏やかに目を細めた。
「学園長はあんなこと言ってたけど、るり、弾くのうまくなってたな」
「そ、そうかな」
一気に気持ちがひゅんと急降下した。
ダメだ。あの時のことを思い出すと苦しくなる。
声をかけられて、ドキリと心臓がゆれた。
振り向いたら、早玖が立ち上がってこちらを見ていた。
「三味線、弾いてないって言ってたのに、うそつきだね」
意地悪く言うと、早玖が困ったように笑った。
「るりは散歩してたの?」
「ううん。お母さんに買い物頼まれたんだ。川沿いの道歩いてたら、早玖が見えたから……」
「そっか」
早玖はベンチに座って、となりの席をポンポンたたいた。
「ここ、座りなよ」
えっ。
ためらっていると、早玖が苦笑いした。
「嫌われちゃったかな。おれ、イヤなやつだもんな」
「あ、当たり前でしょ? 学園長と生徒会の味方するなんて、わたしの敵……」
言いかけたら、早玖が後ろにふっと視線を投げたあと、いきなり立ち上がって、わたしの方へやってきた。
「ごめん。るり、こっち来て」
早玖はそう言うと、わたしの手をにぎってかけだした。
なに? 突然?
橋の下まで走り、柱の陰に入ると早玖がわたしの手を離した。
「な、なんなの急に」
「しっ。ちょっとだけ静かにしてて」
土手の上の方から、きゃはははとにぎやかな笑い声が聞こえてくる。
あ、あれは生徒会の女子たちだ。
「危なかった。あいつらにるりと一緒にいるところ見られたら、ややこしいからな」
早玖は、ほっとしたように息をついた。
「あいつらって……生徒会の仲間じゃないの?」
「別に。仲間なんて思ってないよ。ま、あともう少しだけ仲間のフリしないといけないけど」
「仲間のフリ?」
全然話が見えてこない。疑うようにじっと見つめると、早玖が頭をかいた。
「ごめん、るりにはイヤな思いさせて。実は、おれが生徒会にいるのは、情報を集めるためなんだ」
「情報?」
「うん。学園長のこと、生徒会の動き、留五郎さんの宝のことをどこまで知ってるか……その情報をゲットするには、生徒会に入るのが一番てっとりばやいだろ?」
「そ、そうだけど」
「一生徒が生半可にたてついたって、何も変わらない。おれは一年の時に痛いほどよくわかったんだ。学園長、PTA、生徒会……あいつらと戦おうと思ったら、それなりの策が必要だって」
「早玖だけに?」
「いや、今、そのダジャレいらないだろ。ミドリくんがいたら、ツッコミいれてくれるけど」
急にミドリくんの名前が出てきてびっくり。
「早玖、ミドリくんと仲いいの?」
「うん。ミドリくんと月都とは協力しあってるんだ。隠し部屋の茶室も知ってるよ」
「ええっ! そうだったの? あ、だからわたしがミドリくんに連れていかれそうになった時も知らんぷりだったの?」
「うん。あの時のるり、すごく悲壮な顔してたから、悪いなと思ったけど」
「あの時、見捨てられたって思ったよ」
むすっとして言うと、早玖が申し訳なさそうに笑った。
「悪い悪い。でも、るりをゴタゴタに巻き込みたくかったんだ。だけど、生徒会にのりこむし、文化祭の許可をとりに学園長に直談判にくるし」
「だって……わたし、どうしてもじいちゃんがいた時の学園に戻したいって思ったから。荒れたままで廃校なんて、絶対イヤだったから」
「おれも同じだよ」
早玖が優しくうなずいた。
あ、昔の早玖だ。
わたしが元気がない時、話をきいてくれたり、外へ遊びに連れ出してくれた時のやわらかい表情。
「るりががんばって文化祭の許可をもらってくれたし、文化祭、成功してびっくりさせてやろう。学園長も、生徒会も」
「うん」
うなずいたけど、まだ信じられない気持ちでいっぱい。
早玖もがんばってくれてたんだ。わたしよりもずいぶん前から。
何だかうれしくて、じわっとまぶたの奥が熱くなってくる。
そんなわたしに早玖が穏やかに目を細めた。
「学園長はあんなこと言ってたけど、るり、弾くのうまくなってたな」
「そ、そうかな」
一気に気持ちがひゅんと急降下した。
ダメだ。あの時のことを思い出すと苦しくなる。
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