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7章
合わせるのがムズカシイ
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完璧にするより、心をこめる?
……そっか。そう言えば、わたし。
月都くんが言ったことは、まだちゃんと分かってない。だけど。
「……わたし、まちがえないようにってそればかりだった。学園長の言ってたことが頭の中でぐるぐるしてて。だから、ただ楽譜のとおりに弾いてただけだったかも」
顔を上げると、早玖と目が合った。
「るり。まちがえてもいいから、もっと弾くことを楽しもう」
「……うん」
もう一度、箏の前に座り直して大きく息をはいた。
弾いてみると、相変わらず音のまちがえもあるし、やっぱり早玖とも合わない。
だけど、鎖でしばられたみたいにきゅうくつな気持ちは、どこかへ消えていった気がする。
弾き終わったら、桜宮さんが大きく拍手してくれた。
「よかったです! さっきよりも北川さんの音がのびのびしてる気がしましたよ」
「あはは。ありがとう。でも、やっぱり、間と間がうまくいかないね」
「そうだな。おれもタイミングが遅かったり、速かったりで正直、つかめてない」
特にここ、と早玖が三ページ目の最後の小節とか、五ページ目のはじめとかを指さす。
ううっ。そうなんだよね。いつもここは絶対合わない。
桜宮さんがひょいと楽譜をのぞきこんできた。
「うわぁ、楽譜って漢数字なんですね。すごい。あ、でも、クレッシェンドとかは書いてある! フォルテも! フェルマータも」
桜宮さんが興味津々で見てる。やっぱり洋楽と楽譜ちがうもんね。
「フェルマータの後も合わないんだよな。あと、ここの裏間に入れるところとか」
早玖が苦い顔で言う。
「裏間って何ですか?」
桜宮さんがきくと、早玖が楽譜の中の一つの四角を指さした。
「この楽譜で言うと、一つの四角が一拍。で、その中につながってない横線が入ってるだろ? この上部分が表間、下部分が裏間」
「難しいんですね。洋楽や現代曲も休符が多かったり、リズムが難しかったりですけど。で、この細い欄に書いてあるパートは何ですか?」
「あ、それは尺八のパートなの。じいちゃんが吹いてたんだけど」
「留五郎さんが……」
桜宮さんがハッとして目を大きくすると、早玖が何かを思いついたようにトンと楽譜をたたいた。
「そうだ。留五郎さんがここの部分吹いててくれたから、あの時はちゃんと合ってたんだ」
「そう言えばそうだね。じいちゃんがこのメロディ吹いたら、二拍目にわたしも入るんだって思ってたもん」
「そういうところ、いっぱいあったよな。しかも、そこが今、合ってない場所だ」
そう思ったら、やっぱりこの曲は三人でやるために作ってくれた曲だったんだなぁって思う。
じいちゃん、音の絡みとかあれこれ考えてくれてたんだ。
「はぁ。じいちゃんがいてくれたら、吹いてもらえたのに」
「フルートなら吹けるんですけどね。応援することしかできなくて、はがゆいです……」
桜宮さんが残念そうに言うと、早玖がはっとした。
「え? 桜宮さん、フルート吹けるの?」
「はい。そんなにうまくないですけど。小学校で吹奏楽クラブだったんです」
桜宮さんが言うと、早玖がしばらくフリーズした。
「どうしたの、早玖? おーい……」
「……いけるんじゃないか?」
「はい?」
桜宮さんが首をかしげる。
「るり! 桜宮さんにフルート入ってもらったらいいんじゃないか?」
「えっ、尺八のかわりにってこと?」
「えっ、えっ、えっ?」
桜宮さんが混乱したように、わたしと早玖の顔を交互に見る。
……そっか。そう言えば、わたし。
月都くんが言ったことは、まだちゃんと分かってない。だけど。
「……わたし、まちがえないようにってそればかりだった。学園長の言ってたことが頭の中でぐるぐるしてて。だから、ただ楽譜のとおりに弾いてただけだったかも」
顔を上げると、早玖と目が合った。
「るり。まちがえてもいいから、もっと弾くことを楽しもう」
「……うん」
もう一度、箏の前に座り直して大きく息をはいた。
弾いてみると、相変わらず音のまちがえもあるし、やっぱり早玖とも合わない。
だけど、鎖でしばられたみたいにきゅうくつな気持ちは、どこかへ消えていった気がする。
弾き終わったら、桜宮さんが大きく拍手してくれた。
「よかったです! さっきよりも北川さんの音がのびのびしてる気がしましたよ」
「あはは。ありがとう。でも、やっぱり、間と間がうまくいかないね」
「そうだな。おれもタイミングが遅かったり、速かったりで正直、つかめてない」
特にここ、と早玖が三ページ目の最後の小節とか、五ページ目のはじめとかを指さす。
ううっ。そうなんだよね。いつもここは絶対合わない。
桜宮さんがひょいと楽譜をのぞきこんできた。
「うわぁ、楽譜って漢数字なんですね。すごい。あ、でも、クレッシェンドとかは書いてある! フォルテも! フェルマータも」
桜宮さんが興味津々で見てる。やっぱり洋楽と楽譜ちがうもんね。
「フェルマータの後も合わないんだよな。あと、ここの裏間に入れるところとか」
早玖が苦い顔で言う。
「裏間って何ですか?」
桜宮さんがきくと、早玖が楽譜の中の一つの四角を指さした。
「この楽譜で言うと、一つの四角が一拍。で、その中につながってない横線が入ってるだろ? この上部分が表間、下部分が裏間」
「難しいんですね。洋楽や現代曲も休符が多かったり、リズムが難しかったりですけど。で、この細い欄に書いてあるパートは何ですか?」
「あ、それは尺八のパートなの。じいちゃんが吹いてたんだけど」
「留五郎さんが……」
桜宮さんがハッとして目を大きくすると、早玖が何かを思いついたようにトンと楽譜をたたいた。
「そうだ。留五郎さんがここの部分吹いててくれたから、あの時はちゃんと合ってたんだ」
「そう言えばそうだね。じいちゃんがこのメロディ吹いたら、二拍目にわたしも入るんだって思ってたもん」
「そういうところ、いっぱいあったよな。しかも、そこが今、合ってない場所だ」
そう思ったら、やっぱりこの曲は三人でやるために作ってくれた曲だったんだなぁって思う。
じいちゃん、音の絡みとかあれこれ考えてくれてたんだ。
「はぁ。じいちゃんがいてくれたら、吹いてもらえたのに」
「フルートなら吹けるんですけどね。応援することしかできなくて、はがゆいです……」
桜宮さんが残念そうに言うと、早玖がはっとした。
「え? 桜宮さん、フルート吹けるの?」
「はい。そんなにうまくないですけど。小学校で吹奏楽クラブだったんです」
桜宮さんが言うと、早玖がしばらくフリーズした。
「どうしたの、早玖? おーい……」
「……いけるんじゃないか?」
「はい?」
桜宮さんが首をかしげる。
「るり! 桜宮さんにフルート入ってもらったらいいんじゃないか?」
「えっ、尺八のかわりにってこと?」
「えっ、えっ、えっ?」
桜宮さんが混乱したように、わたしと早玖の顔を交互に見る。
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