和ごころシンフォニー

森野ゆら

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8章

離れ屋で

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 離れ屋は相変わらずのボロボロ。
 月都くんが職員室で借りてきてくれた鍵を使って、古びた引き戸をカラカラと開ける。
 うわぁ、久しぶりに入る。木のにおいとなつかしい気持ち。
 外がゴミで汚かったから心配してたけど、中はきれいに整頓されてる。
 最近は、だれも入ってなかったのかな。

「さて。どこにあるかだけど」

 この離れ屋は、畳の部屋が三部屋あって、奥は茶道部が使っていた和室がある。
 茶道部のとなりの部屋で華道部が活動してたっけ。

「また隠し部屋があるんかな?」

 ミドリくんのワクワク顔を見てたら、わたしも、ちょっとドキドキしてきた。
 この離れ屋のどこかに宝があるなんて。じいちゃんは一体、何を隠したんだろう?

   *

 それから、みんなで探した。一時間弱、かかったかな?
 でも、全然見つからなくて、和室の畳にみんなで座り込んでギブアップ。

「うーん。どこにも宝っぽいもんはなかったなぁ」

「隠し部屋もなかったですし」

 そう。ちょっと変色してる畳があったから、もしかして? って思ってめくったけど、何もなし。ただ、時間が経って劣化してるだけだったみたい。
 他にもあやしい所は調べてみたんだけど、何もなかった。

「もう一度、紙を見せてもらえますか?」

 桜宮さんがお願いすると、早玖がポケットから紙を取り出した。

「丘から見える黒狐っていうのは、この離れ屋のことを指してるとして、『川を下ってお宝さがし』っていうのがよく分かりませんね」

「この学園に川なんてあったかな?」

 早玖が言うと、ミドリくんがブンブン首を振った。

「ないやろ。じゃあ、町の川のこととか? えー。今から行くのかー?」

 疲れきったミドリくんが、後ろに両手をついてぐでんと寝転がった時、

「あーーーーーっ」

 ミドリくんの大きな声に、みんなビクリと肩をふるわせる。

「な、なんだよ。ミドリくん。突然大きな声を出して」

 月都くんが耳を押さえながら言うと、ミドリくんがバッと起き上がった。

「おった! 黒いキツネが! 川を下っとる!」

「はい?」

 みんながハテナマークをぶら下げてると、ミドリくんが立ち上がって掛け軸がかかっている床の間まで走り寄った。

「ほら、この掛け軸の絵見てみ」

 みんなで床の間まで行って、掛け軸を見てみると。
 あ、本当だ! 掛け軸には川の絵が描いてあって、ウサギが川沿いで花を摘んでたり、タヌキが水遊びしてる。
 その上流の方に、笠をかぶった黒いキツネがイカダに乗って川を下ってる。

「これだよね。絶対これだよ!」

 たかぶる気持ちをおさえられずに言うと、みんながうなずいた。
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