スパイラル・ワープ!

森野ゆら

文字の大きさ
18 / 46
4章

3 要注意人物

しおりを挟む
 駅前、商店街、野球場のまわり。
 町を一時間半くらい歩いたら、辺りが薄暗くなってきた。
 ベンチに座って、ぼんやり夕空を眺める。
 はー、収穫なしかぁ。

「はい。どうぞ」

 目の前にオレンジジュースの缶が突然現れた。
 続いて、自動販売機に行っていたリゼの顔がひょこっと現れる。
 私はジュースを受け取って、頭を起こした。

「今日は見つからなかったね」

「そんなやたらめったらあるモノじゃないからね」

 ジュースのタブを開けながら、リゼが私のとなりに座った。
 リゼのズボンのポケットから、チャリンと小銭の音がする。

「リゼ、この時代のお金持ってるんだね」

「うん。本部から支給されるんだ。そのお金で服を買ったり、住む所を借りたりしてるよ」

「ひゃー、本部ってお金持ち~」

 ジュースを開けながら言うと、リゼがフハッと笑った。

「まぁ、いろいろ手厚く仕事の補助はしてくれるけどね。なかなか規定とか厳しいんだよ。その時代の人に知られちゃいけないとか。違反したら厳しい罰則があるしね。あ、ひなりは特例だよ。スパイラルを見つけるっていう特殊な力を持ってるから、後で申請しておく」

 リゼが勝気に笑って、親指を立てる。
 特例か。うわ。なんだか気分がいいなぁ。
 あれ……でも待って。

「あの、なんで瑞希の記憶は消さなかったの? 瑞希はスパイラルを見つける能力はないのに」

 きくと、リゼはジュースを一口飲んでからつぶやいた。

「あぁ。まぁ……彼はしゃべらないだろうと思って」

「え? なんで?」

「そんな気がしたから」

 リゼはいたずらっぽく笑って、電信柱の向こうにある電気屋さんの看板に視線を投げた。

「どういうコト?」

 きいてもリゼは、看板を見てほほえんだまま。
 風が吹いたからか、看板がカタンと音を立てた。
 瑞希は口が固そうだから? まぁ、見た目は無口っぽいし。
 私のついでに、瑞希のこともおまけで特例にしてくれたのかな。
 そんなことを考えてたら、リゼの腕にある時間移動機がピピピピッと鳴った。
 リゼが時間移動機からイヤホンみたいなものを伸ばして耳につける。

「はい。こちらリゼ。……えっ」

 突然、リゼの顔がこわばった。

「了解。気をつけます」

 リゼはイヤホンをしゅるんと時間移動機に収納すると、はあっとため息をついた。

「ど、どうしたの?」

「……サイリがこっちに来てるらしい」

「サイリ?」

「時間警察が探してる要注意人物だよ。時間の壁を壊して、わざとスパイラルを作るんだ……どこの出身かは不明で、謎が多いんだ」

 固い表情で言うリゼに、私もコクッと喉を鳴らす。

「……正体不明なんだね。っていうか、スパイラルって作ることができるの?」

「うん。だいたいのスパイラルは自然にできたものなんだけど、高度な知識とテクニックで作られた人為的なスパイラルもあるんだ」

「ほえー。あんなものを作れるなんて、未来にはすごい人がいるんだね」

「あぁ。残念ながら技術はすごいね。……ってことは、これから作られたスパイラルが現れる可能性が高いってことか。修復しがいがあるな」

 リゼが不敵な笑みを浮かべて、夕暮れ空を見上げた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。   (also @ なろう)

【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。

【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。  しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。  そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。  そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。

こちら第二編集部!

月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、 いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。 生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。 そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。 第一編集部が発行している「パンダ通信」 第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」 片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、 主に女生徒たちから絶大な支持をえている。 片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには 熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。 編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。 この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。 それは―― 廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。 これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、 取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

少年イシュタと夜空の少女 ~死なずの村 エリュシラーナ~

朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
イシュタは病の妹のため、誰も死なない村・エリュシラーナへと旅立つ。そして、夜空のような美しい少女・フェルルと出会い…… 「昔話をしてあげるわ――」 フェルルの口から語られる、村に隠された秘密とは……?  ☆…☆…☆  ※ 大人でも楽しめる児童文学として書きました。明確な記述は避けておりますので、大人になって読み返してみると、また違った風に感じられる……そんな物語かもしれません……♪  ※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。

【完結】カラフルな妖精たち

ひなこ
児童書・童話
星野愛虹(ほしの・あにー)は小学五年女子。絵を描くのが大好き。ある日、絵を描いていると色の妖精・彩(サイ)の一人、レッドに出会う。レッドはガスの火を変化させて見せる。サイは自分の色と同じ物質をあやつり、人の心にまで影響できる力を持つ。さらにそのサイを自由に使えるのが、愛虹たち”色使い”だ。  最近、学校では水曜日だけ現れるという「赤の魔女」が恐れられていた。が、実はサイの仲間で凶悪な「ノワール」が関わっていた。ノワールは、人間の心の隙間に入り込むことを狙っている。彼を封印するには、必要な色のサイたちをうまく集めなくてはいけない。愛虹の所有するサイは、目下、赤と白。それでは足りず、さらに光のカギもないといけない。一体どこにあるの?仲間を探し、サイを探し。   これは愛虹と仲間たちが、たくさんの色をめぐって奮闘する冒険物語。児童向け、コミカルタッチの色彩ファンタジーです。

ノースキャンプの見張り台

こいちろう
児童書・童話
 時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。 進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。  赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...