スパイラル・ワープ!

森野ゆら

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4章

4 入部届、忘れてました!

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 あれから一週間。
 リゼと一緒に毎日のように探したけど、スパイラルは見つからなかった。
 専門機関が予想している、自然にできたスパイラルとやらも見つからないし、作られたスパイラルもない。
 一生懸命、耳を澄ませたけど、何も聞こえなかった。

 サイリって人は、まだスパイラルを作ってないのかな。
 それにしても、あんなの作れる人がいるなんて、未来ってどうなってるんだろ。
 時間のひずみだよ⁈ 
 理科と数学いっぱい勉強したって、あんなの一生作れる気がしないけど、人類には「天才」がいるんだなぁ。
 私とはちがう世界の人間なんじゃないかって思うよ。
 なーんて。ぼんやり考えてたら、いつのまにか帰りのホームルームが終わってた。

「おーい。ひなり、ちょっと」

 大地先生が教卓から手招きしてる。

「え? 私?」

 わ、私、なにかしたっけ? 
 もしかして、小テストの結果が悪すぎたとか?
 それとも後から出したイソギンチャクの調べ学習がダメだったとか?

「今、行きますっ……」

 あわてて教卓へかけよろうとしたら、
 ドンッ。
 だれかにぶつかった。
 あわてて下を見ると、河本さんが床に尻もちをついてた。

「わぁっ! ご、ごめん! 大丈夫? 机で打たなかった?」

 手を出したけど、河本さんは私が見えてないかのように静かに立ち上がった。

「平気? ケガしてない?」

 きいたけど、河本さんは黙ったまま。
 ちらりと私の顔を見た後、教室を出て行ってしまった。
 ……あ、あれ? 怒っちゃった?
 この前、理科準備室で一緒に話をして、ちょっとは仲良く? なれた気がしたけど……

「おいおい、気をつけろよ~。ひなりはいつも周りを見てないからな~」

 大地先生がこちらへやってきて、ぽすっと私の頭に手をのせた。

「はい……気をつけます」

 しょんぼりしてると、大地先生が私の頭をわしゃわしゃかきまぜて手を離した。

「まぁ、ひなりの元気な所はいいんだけど。そうそう。入部届の締め切りが今日なんだが。 ひなり、入部届出してないだろ?」

「入部届……あ、忘れてた」

「おいおい。ちゃんと説明しただろう? 今日までだって」

 大地先生があきれたようにつぶやく。
 そうだ。中学校と言えば部活! ってくらい楽しみにしてたのにすっかり忘れてたよ。
 そう言えば、紫央ちゃんはすでに美術部に入ったって言ってたっけ。

「ひなりなら、運動部が喜んでくれるんじゃないか? 運動能力テストの結果、すごく良かったって体育の先生が感心してたから」

「……はい。ちょっと考えてみます」

「ったく。まさか忘れてるとはなぁ。あと出てないのは……瑞希だけか。って、もういないし」

 教室を見まわして、ため息をつく大地先生の袖をパッとつかんだ。

「みっ、瑞希も出してないんですか?」

「あぁ。でも、あいつはちゃんと言ってきたぞ。『今、忙しいので入部届は来月以降にしてください』って。瑞希、塾でも行ってるのか? それとも外部のクラブチームに入ってるとか?」

「……いえ、そんなことないはずだけど」

 忙しい? 瑞希、何が忙しいんだろ?
 うーん。最近、口きいてないから分かんないや。
 ふと、大地先生の持ってるペンケースを見ると、懐中時計を首から下げたかわいいペンギンのキーホルダーがぶらさがってる。

「先生、それ、『タイムトリップペンギン』ですか?」

 きくと、大地先生がうれしそうにキーホルダーをつまみあげた。

「おお。そうだ。ひなりも毎週みてるのか?」

「時々……」

 そこから大地先生の長い話が始まった。
 大地先生、ほんとにそのアニメ、好きだなぁ。
 タイムトリップかぁ。
 大地先生がひずみのことや、リゼのことを知ったらびっくりするだろうな。
 絶対、言えないけど。
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