スパイラル・ワープ!

森野ゆら

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5章

8 瑞希を探して

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 結局、一時間ほど探しまわったのに、瑞希の姿は見つけられなかった。
 もしかして、この時代じゃないのかな。
 ちがう時間のちがう場所に瑞希は飛ばされちゃったのかな。
 じゃあ、どうしたらいいんだろう。
 もし、百年前とか千年前とかに飛ばされてたら……
 恐竜がいる時代に飛ばされたら?
 ティラノサウルスに追いかけられてる瑞希を想像して、ブルブルっと頭を振る。

 いや、前にリゼが言ってた。
 百年前や千年前につながるスパイラルはめったにできないって。

 ああ、もう。
 私のせいだ。私のせいで瑞希をこんな目に合わせちゃったんだ。

「……ごめん……瑞希」

 小さくつぶやいたその時、通信機がピピピッと鳴った。
 リゼ?
 あわてて応答ボタンを押す。

「ひなり、瑞希を見つけたよ」

「ほんと⁈」

 リゼの明るい声に、ドキンと心臓が跳ね上がる。

「駅の北側からだいぶん歩いたところなんだけど……梅の花公園って分かる?」

「うん。分かる! すぐ行く!」

 ここからちょっと離れてるけど、走れば十分ほどで着く!

 ――よかった! 瑞希!

 通信機を握りしめ、走り出した。


   
 梅の花公園に着いたら、すべり台の所で立っている瑞希を見つけた。

「瑞希!」

 かけよると瑞希が振り返り、ちょっと気まずそうにほほえんだ。

「瑞希、大丈夫だった?」

「ごめん。心配かけて。迎えにきてくれたんだな」

「うん。リゼに連れてきてもらって……って、あれ? リゼは?」

 そう言えば、リゼがいない。連絡してきたのはリゼなのに……。
 キョロキョロ探してると、瑞希が言いにくそうに口を開いた。

「あー……ちょっと頼みごとをしたんだ。その用事をしてもらってる」

「頼みごと?」

 きき返した時、ブランコの向こうの木の裏がふわっと光った。

「お待たせー。あ、ひなりも来てたのか」

 リゼが手をヒラヒラ振りながら、かけてきた。
 瑞希が心配そうな顔でリゼにかけよる。

「ありがとう、リゼ。ちゃんと……送れたか?」

「あぁ。大丈夫だよ。眠ってたけど、体調は問題なさそうだったし」

「誰のこと? リゼ、どこに行ってたの?」

 きくと、瑞希が私の顔をじっと見てきて、リゼがいたずらっぽく笑いながら言った。

「小さな眠り姫を送り届けてた」

「眠り姫?」

 なに、それ?
 リゼってば、おとぎの国でも行ってたの?

「それより、早く戻ろう。予想外のことで時間移動機のパワーを使ったし。戻れなくなったら大変だ」

 リゼがサッと話を切って、手首の時間移動機をさわる。
 うーん。なんかはぐらかされたみたいな気がするけど、まぁいいか。

「ひなり、瑞希、ぼくのそばに来て」

 言われて、あわててリゼの元へ近づく。
 リゼがボタンを押した瞬間、ぐらりと視界がゆがんだ。
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