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6章
3 亜希ちゃんのお魚
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部屋の真ん中の机に瑞希と亜希ちゃんが座って、その向かいに私とリゼが座った。
亜希ちゃんが算数のドリルとノートを出した横で、瑞希が司書さんから受け取った地図のコピーを机に広げる。
「スパイラルが作られた場所をチェックすると、図書館がここで、星山フルーツ公園がここ」
瑞希が赤い丸をつける。それから、図書館と星山フルーツ公園の間に真っすぐな線を引いた。
「この線をメモにあった△の一辺とすると、もう一つの頂点の場所が次にサイリがスパイラルを作る場所ってことになる」
瑞希の説明にうーんと考える。
「ちょうど三角形になる場所かぁ。でも地図のどっち側だろ?」
北なのか、南なのか……どっち側に三角の頂点が来るんだろう?
「その頂点の場所のヒントは、これだな」
リゼがタブレットの画面をトンと指さした。
「あらためて言うけど……UとQ、それからLの筆記体であるℓが書かれてる。これが示す場所は……」
「UとQかぁ。なんだろ? お店の名前?」
「でも、そんな店ないな」
そう言って、瑞希が地図を見ながら、お店の名前を一軒一軒確認する。
お店の名前か、施設の名前かな?
UとQとℓ、そんな場所、あったかな……
「あー、このリットル、亜希の勉強と一緒だぁ」
亜希ちゃんがうれしそうに言って、リゼのタブレットのℓを指さした。
「えっ? 一緒?」
きくと、亜希ちゃんがにこっと笑って、算数の教科書を開いた。
水が入った容器の絵が描いてある。
「亜希の算数も1Lとか2Lの所やってるの。でもね、この前お母さんってば、リットルをこれと同じように書いたんだ。お母さんは小学生の時、こうやって書いてたんだって。Lをお魚さんみたいに書くんだよ」
「魚……?」
「うん。ℓって、魚の形みたい! だからℓを横にして、目とヒレを描いたの! ほんとにお魚だねってお母さんと笑っちゃった!」
思い出してクスクス笑う亜希ちゃんに、私たちはハッと顔を見合わせた。
「これ、もしかしてLの筆記体じゃなくて……」
リゼのつぶやきに瑞希が答えた。
「……魚のかたち?」
「ってことは、魚がいる場所? 魚屋さん?」
地図で探すけど、ちょうどその辺りに魚屋さんはない。
「……分かった」
瑞希が一点を見つめて、うなずいた。
「えっ? 分かったの?」
「いや、魚がいる場所でUとQを含む場所は……」
瑞希が地図をすーっと指さす。
「AQUARIUM……水族館だ」
「ほんとだ! ちょうど三角の頂点にあたる場所に星山町水族館がある!」
「……絶対ではないけど、可能性は高いな」
あごに手を当てて言うリゼにうなずいて、私はトンと机をたたいた。
「よーし、じゃあ、土曜日、早速、水族館に行ってみようよ」
「そうだな。もうスパイラルが作られているかもしれないし……サイリがまだ作ってなかったとしても、場所さえ分かれば、頻繁にチェックに行ける」
「リゼくんとひなりちゃん、水族館行くの? いいなぁ!」
うらやましがる亜希ちゃんと話してたら、瑞希が神妙な顔をしているのに気づいた。
「どうかした? 瑞希」
「……変だなと思って」
「え?」
「このメモデータ、やけに分かりやすい気がして……サイリは未来の人間だろ? わざわざおれたちの時代の言葉でメモして、誰かに分かるように残すかなと思って」
瑞希がペンのふたを閉めながら、首を傾ける。
「この時代の言葉とか地理を勉強したから、使いたかったんじゃないか? それに、未来の言葉でもずっと変わってないものもあるぞ」
リゼが言うけど、瑞希は納得してないような顔。
「……そうかもしれないけど。なんだかわざとらしさを感じるんだよ。ヒントとしてわざと残してるような……」
「気のせいだよ。サイリがヒントなんてくれるわけないじゃん。ほら、ℓだって亜希ちゃんが言わなきゃ、お魚って気づかなかったしさ」
亜希ちゃんの教科書を見せながら言うと、瑞希がふっと笑った。
「……そうだな」
「あー、亜希、おなかすいた~。お菓子買いに行きたーい」
ノートにたくさんのお魚を描いていた亜希ちゃんが、ぷくっと頬を膨らませた。
「あ、賛成! じゃ、もう出ようか」
作戦会議と勉強はおしまいにして、図書館を出てから私たちは駄菓子屋さんへと向かった。
亜希ちゃんが算数のドリルとノートを出した横で、瑞希が司書さんから受け取った地図のコピーを机に広げる。
「スパイラルが作られた場所をチェックすると、図書館がここで、星山フルーツ公園がここ」
瑞希が赤い丸をつける。それから、図書館と星山フルーツ公園の間に真っすぐな線を引いた。
「この線をメモにあった△の一辺とすると、もう一つの頂点の場所が次にサイリがスパイラルを作る場所ってことになる」
瑞希の説明にうーんと考える。
「ちょうど三角形になる場所かぁ。でも地図のどっち側だろ?」
北なのか、南なのか……どっち側に三角の頂点が来るんだろう?
「その頂点の場所のヒントは、これだな」
リゼがタブレットの画面をトンと指さした。
「あらためて言うけど……UとQ、それからLの筆記体であるℓが書かれてる。これが示す場所は……」
「UとQかぁ。なんだろ? お店の名前?」
「でも、そんな店ないな」
そう言って、瑞希が地図を見ながら、お店の名前を一軒一軒確認する。
お店の名前か、施設の名前かな?
UとQとℓ、そんな場所、あったかな……
「あー、このリットル、亜希の勉強と一緒だぁ」
亜希ちゃんがうれしそうに言って、リゼのタブレットのℓを指さした。
「えっ? 一緒?」
きくと、亜希ちゃんがにこっと笑って、算数の教科書を開いた。
水が入った容器の絵が描いてある。
「亜希の算数も1Lとか2Lの所やってるの。でもね、この前お母さんってば、リットルをこれと同じように書いたんだ。お母さんは小学生の時、こうやって書いてたんだって。Lをお魚さんみたいに書くんだよ」
「魚……?」
「うん。ℓって、魚の形みたい! だからℓを横にして、目とヒレを描いたの! ほんとにお魚だねってお母さんと笑っちゃった!」
思い出してクスクス笑う亜希ちゃんに、私たちはハッと顔を見合わせた。
「これ、もしかしてLの筆記体じゃなくて……」
リゼのつぶやきに瑞希が答えた。
「……魚のかたち?」
「ってことは、魚がいる場所? 魚屋さん?」
地図で探すけど、ちょうどその辺りに魚屋さんはない。
「……分かった」
瑞希が一点を見つめて、うなずいた。
「えっ? 分かったの?」
「いや、魚がいる場所でUとQを含む場所は……」
瑞希が地図をすーっと指さす。
「AQUARIUM……水族館だ」
「ほんとだ! ちょうど三角の頂点にあたる場所に星山町水族館がある!」
「……絶対ではないけど、可能性は高いな」
あごに手を当てて言うリゼにうなずいて、私はトンと机をたたいた。
「よーし、じゃあ、土曜日、早速、水族館に行ってみようよ」
「そうだな。もうスパイラルが作られているかもしれないし……サイリがまだ作ってなかったとしても、場所さえ分かれば、頻繁にチェックに行ける」
「リゼくんとひなりちゃん、水族館行くの? いいなぁ!」
うらやましがる亜希ちゃんと話してたら、瑞希が神妙な顔をしているのに気づいた。
「どうかした? 瑞希」
「……変だなと思って」
「え?」
「このメモデータ、やけに分かりやすい気がして……サイリは未来の人間だろ? わざわざおれたちの時代の言葉でメモして、誰かに分かるように残すかなと思って」
瑞希がペンのふたを閉めながら、首を傾ける。
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リゼが言うけど、瑞希は納得してないような顔。
「……そうかもしれないけど。なんだかわざとらしさを感じるんだよ。ヒントとしてわざと残してるような……」
「気のせいだよ。サイリがヒントなんてくれるわけないじゃん。ほら、ℓだって亜希ちゃんが言わなきゃ、お魚って気づかなかったしさ」
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「……そうだな」
「あー、亜希、おなかすいた~。お菓子買いに行きたーい」
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「あ、賛成! じゃ、もう出ようか」
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