スパイラル・ワープ!

森野ゆら

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7章

3 サイリの正体

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「なんか……悪いことしちゃったね……」

 ポツリと言うと、瑞希がじろっとにらんできた。

「ひなりが何も考えずに出て行くからだぞ」

「何も考えずにって……だって、大地先生がサイリだって思ったら、いてもたってもいられなくて。瑞希だってそう思ったでしょ?」

「いや……少しだけ聞こえた女の人との会話内容で、ちがうかも……って思った」

「そっ、それならそうと言ってよ!」

「言う前にひなりが飛び出したんだろ⁈」

 言い合いをする私たちのそばに、さっきまで知らんぷりしてたリゼがやってきた。

「やれやれ……あの先生はサイリと関係なさそうだな」

 確かに。あの様子だと大地先生はウソは言ってなさそう。

「もう一回、水族館に戻って見まわろうか」

 そう言ってリゼが額に手をやった時、

 ぽろっ。

 リゼの手首にある時間移動機から、何かが落ちた。
 地面に落ちたネジみたいなものが、きらっと光る。

「あ、やば」

 リゼはあわててそれを拾いあげた。

「わわわっ。時間移動機、壊れちゃった?」

「いや、大丈夫。ネジがはずれただけ。はめたら直る。このネジ、取れやすいんだよなぁ。でもこれがないと、機能しないからな。危ない危ない」

 リゼがネジをつまんで持ち上げ、じいっと見つめる。
 太陽の光にきらっと輝くネジ。
 先はギザギザになっていて、全体的にカタツムリみたいな形。
 さすが未来の発明品。変わった形のねじだなぁ。

「あれ? この形……」

 どこかで見たような気がする……どこで? 
 輝く不思議な色……緑や青、金色や銀色にも見えて……

 ……あ。
 思い出して、ドキリとする。
 このネジと同じものを持っていた人……私、知ってる。
 気づいた瞬間、ドクンドクンと心臓が鳴り出した。

「どうした? ひなり」

 瑞希が心配そうに私の顔をのぞきこんでくる。

「……ねぇ、リゼ。そのサイリって人、どうやってこの時代に来てるの?」

「あぁ、たぶん、この時間移動機を使って来ているよ。専門機関が保管していた時間移動機が一つ盗まれたらしくて。サイリが侵入した形跡があったらしいし」

 リゼの言葉を聞いて、私の予感がどんどん確信に変わっていく。

 ……まさか。あの人が時間移動機のねじを持ってたってことは……じゃあ、サイリは……

「ひなり?」

 瑞希がもう一度、私を心配そうに呼んだその時。

 ビィン……と空気が揺れた。
 耳の奥に響く、ほんの小さな重低音。
 あっ。

「かすかにだけど……スパイラルの音がする……」

 耳を押さえて言うと、瑞希もリゼも目を大きく見開いた。

「かすかなスパイラルの音……ってことは、今、作られたってことか?」

 リゼが固い声でつぶやいた。

「こっち……こっちから聞こえる」

 響いてくる音をたどって、私は歩き出した。
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