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最終話
宗一郎と撫子さん (2) ※
しおりを挟む今日は午後の買い出しを終えてからずっと夕飯の支度をしていた撫子。宗一郎は手伝いたそうにしていたが疲れているだろうから、とアイスコーヒーを出しながらリビングの方へ座らせておく。そんな彼はちょうど乾燥が終わっていた洗濯機から洗濯物を取り出してきてソファーに座って畳もうとしていた。
「俺、最初は全部クリーニングとか洗濯代行に頼んじゃっても、と思っていたんです。その方が撫子さんの負担にならないかなって。でも……良いですね、こう言うのも」
宗一郎が畳んでいるのは撫子の寝間着のコットンワンピース。自らのスウェットズボンやらお洒落着ではないちょっとした服などもある。
「そう言う所は臨機応変に使おっか」
「ええ。無理のない範囲で……って俺、すっかり撫子さんと一緒に住むこと前提で」
「そのことなんだけど、さ。宗君、この部屋どう思う?」
「え、ってことはまさか」
「最新のセキュリティに都心部のさらにど真ん中。各種アクセスも最高だし中層マンションだからエレベーター移動もそれほど苦じゃない。なによりもう、しっかり住んじゃってるし」
撫子が言いたい事が分かった宗一郎は部屋を見回す。
体の大きい自分でも窮屈することなく住んでいる現状。プライベートルームも各自、確保されている。撫子も表の仕事があるので日中は空けている時間の方が多いがこの物件、二人でくつろぐ為の場所としてなら申し分ない。
「博堂の持ち物ならどうにでもなるから。家具とかもお父さんたちには私たちへの落とし前としてどうにかさせるし」
「落とし前……撫子さんらしいなあ。俺よりヤクザかも」
「そう?これでも龍堂の娘だからね」
ふふふ、と笑う撫子につられて宗一郎も笑うがちょうど彼の手元には撫子のおうち用下着が入った洗濯ネットが一つ。
あ、と思った宗一郎はそれだけは開かず、既に畳んである寝間着の上に置いておく。ぽんぽん、と慣れた手つきで洗濯物を畳む宗一郎は撫子がダイニングテーブルに夕飯を並べ始めると残りもきちんと畳み、それぞれの部屋に持って行った足でキッチンへと向かった。
「ねえ宗君」
「はい?」
「あんまり無理しなくても大丈夫よ?手伝おうとしてくれる気持ちだけでも私はじゅ、」
むぎゅう。
それ以上は言わせないから、の宗一郎の行動だった。
こうして抱き締めてしまえば撫子は黙ってしまうと分かっていて……苦しい、と腰をタップされた宗一郎が慌てて離せば撫子の頬は赤かった。
「こうしちゃえば私が何も言えなくなるって……宗君、味を占めたでしょ」
「ん?どうでしょう。撫子さんは考えすぎちゃうところがあるからなー」
やはりしっかり見抜かれている。
今どき『許婚』と言う形で付き合って来たがあと一歩を踏み出せずにいた撫子。しかし彼女は変わった。そんな一人の女性を見る宗一郎の眼差しは優しい。
「でもそれは撫子さんの……あなたの一番素敵なところですよ。俺みたいな猪突猛進とは違う思慮深い素敵な女性だなって」
「なんか、すごい良いこと言われて……る?」
「もっとすごいこと、言っちゃいましょうか」
身を屈めてこしょ、と撫子の耳元でささやいた「俺、実はお菓子を食べたいくらいにお腹空いてるんです」の言葉。
「ふ、っくく。そんな、早く言ってよ」
「いやあまだ明るいですし、明るい内からメシにしてもなあって」
「食べよ。それでお風呂入ってー……ふふっ」
艶のある笑みに変わった撫子に宗一郎はぴく、と反応する。大人の女性の余裕と言うものだろうか。
まあでも大体、彼女の素敵な大人の仕草もベッドの中ではぐずぐずに崩れてしまうわけで。それはそれでとても魅力的だった。
・・・
のんびりとした夕飯を済ませ、お風呂も済ませて。
宣戦布告の通りに撫子はベッドの上で宗一郎にのしかかられながらちゅ、ちゅ、と短いキスを交わしていた。
愛情に既に腫れあがっている彼の熱が時々、故意に体に擦り付けられているが感じている宗一郎につられて撫子も吐息が甘くなっていた。
「ん、ん……そ、くん……そうくん」
そんな彼女の舌足らずな声に宗一郎は煽られる。
「すきよ。だいす、き……っあ、またぴくって動いた」
「バレてましたか?」
「ん……だって、わざとシてるでしょ」
「ええ、気持ち良いですから」
擦り付ける宗一郎の熱はごり、と質量と硬さが増す。今どれくらいなんだろう、とちょっと大きさを想像をしてしまう撫子は心の中で覚悟をしていた。今夜は多分、どうにかなってしまうまで宗一郎は寝かせてくれない。
受けて立とうじゃないか、と言う撫子なりの気の強さもすでに彼の情熱でとろとろと溶けだし、胸を大きく揉みしだかれるとマッサージ的な感覚で気持ち良かった。エステなどでは得られない、信頼をしているパートナーが丁寧に触れてくれることの意味を含め、心地いい。
「も、っと」
「ん……気持ち良いですか?」
うん、と頷く撫子に宗一郎も若干、マッサージ寄りの手つきに変わる。
「でもね、撫子さんのここ……ふふ、勃っちゃってる」
可愛いなあ、としみじみ言う宗一郎が寄せた胸の頂を親指の腹でくるくると撫でまわせば今までよりもずっと、痺れるような快感が足先、手の爪の先まで走る。
「あっ……ん」
「吸っちゃおっかなあ」
宗一郎のいたずらな言葉に胸が期待をしてしまう。
顔を落とし、舌先でほんの少し舐めあげて。それから一気に深く吸われた。
「ひ、っ」
その間も宗一郎は脇から胸を掬い上げ、大きな手のひらの全体でマッサージをするように愛してくれる。ちゅくちゅく、と吸う音もするが意識がふわふわと軽くなってくる。
「ああ、くたくたになっちゃった」
枕に引っ掛けていた指先にも力が入らず、宗一郎が胸元から顔を上げる頃には撫子自身でも分かるくらい大切な所は濡れていた。
「今夜は全部、俺に任せて」
くすぐりあやすような言葉は甘くて優しい。次の愛撫に移る前にも宗一郎はキスを沢山して、撫子の足を緩く開かせながらも羞恥心を和らげさせてくれる。
「音がしちゃいますね」
ふふ、と笑った宗一郎は差し込んだ指先を撫子がびく、と膝を跳ねさせる所を目掛け、重点的に愛し始める。既にもう滲みこぼれた愛情でとろとろ、ぐちゃぐちゃ。指を動かされる度に撫子の耳にも粘性のある音が聞こえていた。
「あ、甘イキしてる」
「~~っ、く」
「我慢しないで。深くイキそ?」
与えられるばかりの快楽に自然と瞼を閉じていた撫子はふいに宗一郎の表情を見てしまった。
「あ、あ……っ」
「撫子さん?」
そこには心の底から自分を愛してくれている男の表情があった。
「んっ、く」
歯を食い縛ろうとしても遅かった。
眉尻を落とし、目を細め、きっと誰にも見せた事の無い顔をしている宗一郎に“色々と”込み上げて来てしまう。
「い、っちゃ……う、だめ、まだ」
「ん……そうですね。甘イキだけにしておきましょうか。本当はもう少し……ね、シた方が良いかもしれないけど」
宗一郎の体温が離れ、彼が何をしているかが頭を起こさなくても分かる。彼ももう、限界なのかもしれない。
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