ムッツリ生徒会長にご教授!

三日月

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部屋

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まずは簡単なところから本人の望みを叶えてやって、この先手本無しでもなんとかなると思わせることが目標だ。
ちょうど、資料の一番初めが変化もわかりやすい『外見改善』
手っ取り早く、そこから手を付けることにした。

俺と生徒会長じゃ、毛色が違いすぎる。
校内で一緒にいると悪目立ちするから、連絡先を交換して週末に外で会うことになった。
手始めに、制服姿しか見たことがねぇ生徒会長のワードローブを見せてもらうため自宅に行ったんだが。

なんだこの屋敷は。

2メートルの塀にぐるっと囲まれた古民家。
車ごと入っていけるバカでかい門をくぐると、見学料が取れそうな庭園が広がり蔵まである。
代々警察やってると儲かんのか?

わざわざ門まで迎えに来た生徒会長は、白シャツにダークグレーのパンツとほぼ制服姿と変わりねぇ。
この家の雰囲気に溶け込んでいて、ここで育ったからこんな堅物生徒会長になったんだという説得力を感じる。
片や、俺は浮いていた。
俺が持ってる中から、一応気を使って柄の少ない黒地のTシャツにストレートジーンズで来たんだけど。
この家にジーンズがまず合わねぇ。

あっさり自宅に招き入れられたから、なんか弱みにでもなりそうなもんが手に入ったらなぁと下心まで湧いてたのに、趣のある家に圧倒されシュンと沈下。
口調も改めとかねぇと、即敷地からつまみ出されそうだ。


「迷わず来れてよかった。
家族は留守なので、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ、成瀬君」

「はぁ」


外観が高級旅館にしか見えねぇ家の中に入り、長い廊下を進んで部屋まで通される。
俺の部屋の四倍ありそうな和室で、障子が開けられた窓からはカコーンと力の抜ける鹿威しの音が響いてくるし、立派な黒松も見えている。
ここが生徒会長の部屋か⋯
生徒会長が飲み物を持ってくると出ていったので、気持ちを切り替え遠慮なく部屋を物色してやろうと思ったんだが。

なんじゃこりゃ!

庭の景色が一番見やすい場所に置かれた文机。
どうやらここが勉強エリアらしく、隣の本棚には参考書や辞書が並んでいるんだが。
その対角、テレビの前に山積みされてるのは18禁DVDにその手の雑誌、小説、漫画。
どれも平均した高さは俺の腰くれぇ。
両手を広げても、その半分も抱えきれない量に唖然。

全く隠してねぇよ、コイツ。
誰も部屋に入ってこないにしても、押し入れに入れるとかしねぇか?
近寄ってタイトルを見ると、どうやらジャンル別に山分けされてるらしい。
こういうところは生徒会長らしいな。

緊縛に素人ナンパに看護師に未亡人⋯節操がねぇな。
興味が惹かれた「隣のおねぇさんの童貞手解き秘密のツユダク授業♡」に手を伸ばしかけたところで生徒会長が戻ってきた。


 「おや、成瀬君でもそういったものに興味を持つんですか」


意外ですねぇとタイトルまで覗いてくる生徒会長。
おい、少しはこの山を見られて慌てたりとかしねぇのかよ!
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