そのジンクス、無効につき

三日月

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FIRST GAME

8

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「大丈夫、男同士のやり方もすげぇ調べたし、クラブでそっち系のヤツから選別ってこれも貰ってきてるし」

ゴソゴソポケットから出てきたのは、コンドームに手のひらサイズのチューブ。
本気だ、本気でヤル気だ、このバカっ
埃だらけの部室とコンドームにゾッとする。
イヤだ、絶対にイヤだッ
赴任早々こんな場所で生徒に襲われるとか、有り得ないっ

「今日はサッカー部の朝練は無いけど、隣の野球部と陸上部はあんだよな。
音、抑えられるかなぁ」

いそいそ下まで脱ごうとしている若松の両手首を慌てて掴む。
目の前でズクッとソレが盛り上がったのを見て泣きそうだ。
そう、まずは、ソレも若松の頭も冷静になるための時間を与えなければっ

「ん?」
「待て、若松。
お前の気持ちは、よーっくわかった。
が、こんな汚い所で運命の相手と結ばれるつもりなのか?」
「え、これでも朝から掃除したんだけど」

おい、こら。
初めからここでヤル気だったのか?!
怒鳴りたい気持ちを飲み込み、猫なで声でなんとかこの場から逃げ切ろうと策を練る。

「ほ、放課後、改めて会おう」
「え"ー、無理無理。
俺、ずっと荒川先生とここで朝からスんの楽しみにしてたし。
それに、今日はクラブチームの練習でかなり帰りが遅いし」

俺の拘束を無視して、スラックスを下げようとするなぁっ

「お、俺の家で卒アルも見せてやるっっ」
「マジでっ」

苦し紛れの思いつきは、若松の性癖に刺さったようだ。
連絡先を交換し、住所まで教えてしまったが・・・一日経って「こんなおっさんが運命の相手とかナシナシ」と我に返って来ない可能性は・・・た、高いよな?
ヌいてから出ると上機嫌で送り出されたものの、職員室に戻る足取りは重く嫌な予感は消えなかった。
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