ヘタレαにつかまりまして

三日月

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9 特別棟

28

ヤマに言われた通り、扉を開け個室から出た、その外で。
口内に溜まった唾液を飲み込むために、コクンと喉を鳴らす。

待ち望んでいたものではなかった物足りなさに、喉にも気持ちにも乾きを覚える。
自分の唾液じゃなく、ヤマの、番の精液を嚥下しこの身に取り込みたいとゾクゾク震える身体を抱き締めた。

ヤマのわずかな発情にさえ、こんなにあてられるのか・・・

もしここが東の離れだったら、好きも嫌いも関係なく、番のΩとして俺はヤマを受け入れていた。
番なんだから、それは当たり前のはずだ。

だか、あくまで好きという恋愛感情にこだわるヤマの頭の中は、未だに花畑が満開らしい。
いつになったら枯れるんだ?
四季折々の花で隙間無く埋まってるんじゃないだろうな。
せっかく番のΩとして身に付けた知識も、全く役に立たない。


「・・・ヤマ?」

「もうちょっと待ってっ」


個室を覗き、便座に座り深呼吸を繰り返すバカに溜め息で応える。
俯くのを止めたヤマの顔には、涙さえ浮かんでいたのはどういうことだ。
そんなに辛いなら、花畑を全て刈り取ってしまえ!
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