例えβに生まれても

三日月

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30 脅威の王子様

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「清人、めっちゃ似合ってんぞ」


陽太様は、笑いながら清人様のつけたお面に手を伸ばし、清人様の手に結構強めに弾かれていた。
それさえも面白いみたいで、笑って澪様に「なぁ?」って相づちを求められる。
澪様は、ちょっと顔をしかめて無言。

赤いヒーローお面をつけたままの清人様。
空港から車に乗り込むまで、凄く周りから見られていたけど。
清人様は、一度も外そうとされなかった。
つけていたら、俺が逃げずにいられるからって割りきられてしまわれたみたい。

俺の方が申し訳なくて。
ちょっと離れて落ち着きたいのもあって。
こそこそっと、後ろを歩くのでお面は外して下さいってお願いしたんだけどね。
「イヤだ」って、言われて。
ずっと離してくださらなかったんだよね。

その、車の前まで来ても抱き締めるのもなかなか止めてくださらなくて。
最終的には、陽太様と澪様がベリッて引き剥がしてくださったんだ。
ふぅ、あのときは、離そうとされない清人様に、窒息しちゃうんじゃないかなって心配になるくらい力一杯抱き締められて大変だったよ。
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