可愛いΩのナカセカタ

三日月

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「俺たちは匂いもフェロモンも残さない。
 だから、萩野の現役の番になったΩは、巣作りには苦労する。
 いくら衣服を重ねても、相手の匂いはしないからな。
 泣いて部屋中を探し回り、帰宅を焦れながら待つこともあるんだ。
 由良は、衣服よりぼっちゃんが六年間使い続けたランドセルを無意識に選んだんだろう。
 俺は、ぼっちゃんがアングラから由良を連れ帰って、番にするって大騒動までの間に何があったか知らされてないけど。
 いやいや、ぼっちゃんのこんな顔まで見られるなら安心だな」


 俺の足を避けるように両手を上げ、お手上げポーズを取りながらりっちゃんは笑う。その笑い方がやけに優しいのがムカつくっ


「とっとと、取りに行け!
 あと、あの石がどうなったか最後まで俺に報告するよう手配しとけよ。
 由良には二度と近寄らせないからなっ」


 りっちゃんに捲し立てながら・・・あ"ーーーー、なんなんだよ、由良めっ!不意打ち過ぎて顔が熱い。由良、孕む気満々じゃないかっ
 思わずしゃがんで、にやける口を隠す。

 そんな俺に、りっちゃんは含み笑いでまだ話しかけてくる。あぁ、もう、さっさと行けよっ


「回収した石は、椿頭家が直接相手の家に届けることになったらしいから由良と二度と会うこともないし、あの状態でもお咎めはないってさ。
 じゃ、ランドセル、取ってきますよ、ぼっちゃん」 
 

 からかってくるその顔を、思いっきり睨み付けてやろうと頭を上げたら。あれだけ階段にひぃひぃ言ってたくせに、軽やかな足取りでその姿は廊下の先の角を曲がって行くところだった。これは、暫く弄られるな。
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