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意識が戻っても、固定されているのか身体の自由は利かず、目も開けられない。話をするのも、喉が乾いてヒリヒリ痛むし、全身が鉛のように重い。輝良にお願いしてベッドを操作して貰い、話しやすいように上半身を少し起こしたんだが。この姿勢を保っているだけで正直疲れていた。
痛みがないのは、薬だろうな。芹沢には、ムチを振るわれ身体中に傷をつけられていた。薬が切れたら、痛みで寝れないんじゃないだろうか。
輝良に気付かれないよう、小さく息を吐いた。こんな、自分がどんな姿をしているかもわからない寝たきりのこの状況も不安で・・・椿頭に関係する病院なら、縁を切られた父親にもこの事態が把握されているという現実にも気が重い。多忙を極める人だから、わざわざここにまで来ることは無いだろうけれど・・・
「それでな、それでなっ」
輝良は、自分の気の沈みには気付かない。ダムが決壊したような勢いで、離れていた間に起きたことを思い付くままに話してくれている。久し振りの再会に喜んでくれている輝良には申し訳無いが、途中から疲れてしまって話どころじゃなくなっていた。
それでも、まさかまたこうして話せる日がくるとは思っていなかったし、何よりも勝手に家を出たことを怒られると思っていただけにその反応が嬉しくて。自分は聞き役に撤し、昔話や、輝良の近況に相槌を打ち続けていた、ら。
扉が開く音。
「目、覚めたのか」
聴き間違うことがない、疾風の声に頬が自然と緩む。近くに居てくれたんだな。
「疾風」
名前を呼んだら、身体から力が抜けていった。疾風が近くにいるだけで安心出来る。離れずに側に居てくれると約束してくれた。きっと、家族の輝良に気を利かせて席を外してくれていたんだな。
疾風は、自分が中学では考えもしてなかったそういった気配りが当たり前のように出来てしまえる。
「俺たちは帰りましょうか、輝良さん」
「なんだとっ、まだ話したいことが・・・・・」
「黙りましょうね」
「また来るからなっ」と話している輝良の声が遠退き、扉が閉まる音が続く。そこからは、無音。疾風の出入りに物音が付随しないのは、病院でも変わらないらしい。
痛みがないのは、薬だろうな。芹沢には、ムチを振るわれ身体中に傷をつけられていた。薬が切れたら、痛みで寝れないんじゃないだろうか。
輝良に気付かれないよう、小さく息を吐いた。こんな、自分がどんな姿をしているかもわからない寝たきりのこの状況も不安で・・・椿頭に関係する病院なら、縁を切られた父親にもこの事態が把握されているという現実にも気が重い。多忙を極める人だから、わざわざここにまで来ることは無いだろうけれど・・・
「それでな、それでなっ」
輝良は、自分の気の沈みには気付かない。ダムが決壊したような勢いで、離れていた間に起きたことを思い付くままに話してくれている。久し振りの再会に喜んでくれている輝良には申し訳無いが、途中から疲れてしまって話どころじゃなくなっていた。
それでも、まさかまたこうして話せる日がくるとは思っていなかったし、何よりも勝手に家を出たことを怒られると思っていただけにその反応が嬉しくて。自分は聞き役に撤し、昔話や、輝良の近況に相槌を打ち続けていた、ら。
扉が開く音。
「目、覚めたのか」
聴き間違うことがない、疾風の声に頬が自然と緩む。近くに居てくれたんだな。
「疾風」
名前を呼んだら、身体から力が抜けていった。疾風が近くにいるだけで安心出来る。離れずに側に居てくれると約束してくれた。きっと、家族の輝良に気を利かせて席を外してくれていたんだな。
疾風は、自分が中学では考えもしてなかったそういった気配りが当たり前のように出来てしまえる。
「俺たちは帰りましょうか、輝良さん」
「なんだとっ、まだ話したいことが・・・・・」
「黙りましょうね」
「また来るからなっ」と話している輝良の声が遠退き、扉が閉まる音が続く。そこからは、無音。疾風の出入りに物音が付随しないのは、病院でも変わらないらしい。
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