可愛いΩのナカセカタ

三日月

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242 Ω

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「麻酔が効いているから、もう暫く身体は動かない。
 切れても、無理して動かすなよ。
 ただでさえ濁されてる入院期間が、延びるからな」


 急に耳元で優しく語りかけられ驚いた。いつの間にか、すぐ近くまで来てくれていたんだな。普段聞き慣れていて気付かなかったが、声変わりをすっかり終えていたのか。一時、掠れて出しにくそうにしていたけれど、それは低い響きを含み、大人の、男性の声だった。
 疾風は、もとから自分よりしっかりしているし大人びてはいたんだが。番になってから、なんと言うか、彼に対して自分の見方が変わったのを感じている。
 今までは、契約で一緒にいてくれているだけなんだと戒めていた気持ちが無くなったからなのか。Ωとしての自分を素直に受け入れられるようになって、そんな自分を疾風にも番にして貰えたのが大きいんだろうな。
 αの疾風と、改めて向き合っている気分なんだ。自分と違い、まだまだ成長過程の疾風を一番近くで見ていられるのは嬉しい。

 あぁ、疾風の声だ。目を閉じていても、疾風がいる場所に戻ってこれたと実感出来る。でも、声を聞いてしまうと声だけでは足りなくなる。本当にここに疾風がいるんだともっと感じたい。目を開けることも、腕を上げることも出来ないこの身体が恨めしい。


「由良の回復力、リハビリ期間によるけどな。
 暫く入院することになるってさ。
 目の包帯は、眼球はやられてないけど瞼の傷も酷いし、塞がるまで外すなってさ。
 尿道には管も入ってる、絶対安静だ」

「心配、かけてごめん」

「・・・俺もアングラも気を抜いてた。
 謝るのはこっちだ」


 ふわりと。柔らかい仕草で疾風の指が頬に触れる。包帯の隙間から、直にじんわり熱が伝わってくる。子どもというには、大きくて。少し固い皮膚の感触。自分は、この感触をよく知っている。あぁ、疾風の指だ。
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