可愛いΩのナカセカタ

三日月

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 自分の言葉で機嫌を直した疾風は、手に持っていたペットボトルの蓋を開けた。その動作を見ているだけで、頬が火照ったのが自分でもわかる。

 薬の服用は、種類によって試合出場取消に関わるものがある。だから、訓練生の頃から風邪薬さえ避けていたんだ。そのせいか、三十過ぎてからの錠剤は苦手、水を飲んでも喉をなかなか通過しない。

 病室に運び込まれてから、疾風が預かってくれていた処方薬とその説明書を見比べながら一緒に確認したんだが、痛み止めに整腸剤、解熱剤と抗生物質・・・薬漬けすぎじゃないかとその量と種類に驚いた。
 その日の昼食の後に初めて飲んだんだが・・・その内の一粒を飲むだけで疲れてしまった。味は苦くもなかったんだが、喉につっかえてつっかえてたった一粒でコップの水を飲み干してしまった。
 一日三度の点滴にも薬は入っているだろうから、無理して全部飲まなくて良いだろうと安易に考え残りは諦めた。だが、それが良くなかったらしい。残りの薬を枕の下に隠して、二人で昼寝をしていたら途中で痛みに襲われ目が覚めた。
 多少の痛みなら堪えられるし、このまま目を閉じていればその内寝れるかと思っていたら、隣で寝ていた疾風に直ぐ気付かれ、看護師を呼ばれてしまった。そこで、体温計を渡され、熱も高くなっていることまでバレて。疾風からは、理由がわかった途端、冷ややかな瞳で怒られた。

 これまで、疾風にからかわれることはあっても怒られることが無かったからな。怒られたことが嬉しくて、二人の距離が段々縮まってるのかな、と。呑気にニヤついてしまった自分を疾風は見逃してはくれなかった。


「唇柔らかくして」


 緊張して固く結んでしまう唇を、フニフニ指先で遊ばれる。あぁ、本当に恥ずかしい。ここに来てからの疾風は、自分を羞恥で爆発させたいんだろうか。
 これ以上疾風を見ることが出来なくて、ギュッと目を固く閉じた。
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