ヘタレαにつかまりまして ２

3 入学式

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小首を傾げた樟葉は、思い出したようにワンテンポ遅れてまた笑った。


｢フフフ・・・僕、先輩なんて初めて言われたよぉ｣


樟葉にとっては、少食を心配されるよりそちらの方が重要らしい。
前髪の隙間から覗いた顔は、紅潮してはにかんで見えた。
柴田は、｢良かったですね｣と優しく同意。
麻野は樟葉をもっと喜ばせようと、｢樟葉先輩｣を連呼し過ぎて松野から口を塞がれていた。

芝浦は、すぐ側で起こった騒ぎには何も口を挟まずに、期待した三枝の目に気付いて自分から尋ねる。


｢えっと、なんだっけ？｣


三枝が、もう一度芸能界に禁断の恋があるのか尋ねると苦笑い。
その笑い方に含みがあったため、三枝は｢やっぱりあるんや！な、誰、誰？｣と前のめりになってしまった。
芝浦は、｢秘密のままにしといた方が良いこともあるって｣と笑って話を終わらせる。

三枝は、残念そうではあったが。
笹部や竹居からまで、｢知ってどーすんだよ｣｢二次元で十分だろ｣と呆れられ渋々諦めていた。
まさか、すでにこの時点で。
自分がその対象になっているとは・・・このとき三枝本人も思ってもいなかっただろう。