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37 牙 side 渡

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後からベットに入ってきた陸の腕を、上半身起こして待ってましたとばかりに抱きしめる。


「あんな、ほんまにほんまに俺はしたいねんで?」


あのあと風呂場で何度も繰り返した言葉に、陸は枕元のライトを消しながら笑って頷く。


「わかってる」

「ほんまに?
明日から、暫くなんもせぇへんとかややで?」


陸、優しいしな。
俺のことを慮って、手を出してくれへんようになるんちゃうやろかと本気で心配してねん。
だってな?
俺だけがこぉ、いくら頑張ってみてもやな。
陸をその気にさせれるんか自信無いしな。
陸が今は止めとこうってなったら、進まれへん。


「お前の発情期が本格的に来るまでに、だろ?
そのために練習までしてるとか・・・時間がどこまであんのかわかんねぇが、怖がらないくらい慣らしてくか」


陸は、ふむと考えながら提案してくれてんけど、慣らすん手伝ってくれるってことなんやろか。
うわぁ、俺、何されるんやろうっ
あんなことや、こんなこと?!
実践はからっきしやったけど、妄想力は逞しいままやしな。
今まで読んできた小説とか、陽太さんに教えて貰ったこととかが頭ん中でぐるぐる回りだす。

あれれ、おかしいな。
ドキドキしてたはずやのに、俺、なんやウキウキワクワクしてもうてるんちゃう?

でもでも、仕方ないねん。
陸の指は魔法の指やった。
自分でするより、何倍も何倍も、怖いくらいに気持ち良かってんもんっ
直接触れられ擦られた場所が疼いてきて、キュンッと無意識に力が入る。
さっきの感触を思い出してしもて、顔からどかんと発熱。
窓から差し込む月明かりだけでも、真っ赤かになってしもてるんバレるんちゃうかな?

俺のことに気を使ってくれてんのに、こんなん楽しみにしてる俺を知られたらあきれられるんちゃうやろか。
陸の腕に額を擦りつけて誤魔化しとく。
そしたら、陸のめっちゃご機嫌な声が降ってきてん。


「エロ天め」


また、エロテン?
エロテンてなんなん?
顔を上げたら、陸と目があった。
あんな途中で逃げ出したのに、全然怒ってる感じはせんし、寧ろさっきから嬉しそうやねんなぁ。
それ、魔法の呪文なん?


「なぁ、テロテンってなんなん?
それに、陸、怒ってへんの?」


遅れてきたんも、自分でしてたからやねんやろ?
俺は陸にして貰ったし、その、正直言いましてやな。
αのって平常時でもβとは違うしな。
小説でも、いろんな書かれ方してるしな。
挿絵ではぼかされてるしやな。
実際見てみたいと言うか、俺のん触られてるんやし俺も陸のん触ってみたいというか。
ほんで、できましたらやねんけどっ
触るだけやなくて、経験不足は否めませんが、俺かて陸を気持ちよくしたいねんっ
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