Ωにしちゃってゴメンナサイ

三日月

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3 初等部教室

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 鋼は、そこまで頭の回っていない千里の頬を空いた指でつつく。
「ねぇねぇ、ちーちゃん。
 俺がちーちゃんの群れに入ったことがわかるように、従属フェロモンつけていい?
 それをつけとけば、俺へのお誘いがちーちゃんに向かないし」
 (本当は所有フェロモンつけたいけど、それだとちーちゃんが俺の群れに入ったみたいになるし。あと、ちーちゃんブチ切れそうだもんなぁ。ちーちゃん弱いのに、プライドの高さは人一倍だし、俺の所有フェロモンを無理やりつけたら一生口を聞いてもらえないかも)それは困ると鋼は“今は”我慢する。
「・・・出せるのか?」
 千里の疑惑しかない眼差しを受け、ひでぇなぁと鋼は口を尖らせた。
「出せるよぉ。
 俺、ちーちゃんの群れに入るんだし」
 鋼がはっきり口に出しても、千里がまだ疑いを捨てきれないのは目に見えて伝わってくる。聞き耳を立てている外野は、鋼の行動の真偽を確かめようとすっかり静まり返っていた。

 フェロモンは、偽装出来ない。

 フェロモンは種類に限らず、気持ちと反するものは出せないからこそ信頼性が高い。鋼が千里につけようとしている従属フェロモンは、鋼が心から千里に従属している証にもなるが、自分が従属したリーダーの手を煩わせないために群れに関することは千里より鋼を通せと周りに迫るものにもなる。
 千里自身、鋼の力が自分より強いことは承知している。だからこそ、その相手から頼んでもいないのに従属フェロモンをつけると言われても正直信用出来ない。鋼は面倒くさいなぁと、千里の許可を待たずにその身体に従属フェロモンをつけてしまう。周りはどよめいたが、それ以上につけられた千里は動揺して固まってしまう。
 (あーもぉ、かんわいぃなぁっ)
 鋼はギュッと抱きしめたいのを堪え、ふにふに両頬を撫でるのに留めた。固まった千里は、その手を払うことが出来ず鋼を見上げたままだ。
 「俺のリーダー」「俺は千里に従う」自己主張の激しい鋼のフェロモンを背負わされ、家族以外のフェロモンを纏うことに慣れていないこともあるが落ち着かない。
 一方の鋼は、自分のΩにしたいと思っていた千里に自分のフェロモンを堂々とつけることが出来て御満悦。千里の性格上、たまに他の生徒と小競り合いを起こしていたことは知っていたが今までは表立って手を貸せないでいた。(勝手に加勢すると、プライドを傷付けられたとかなんとかへそ曲げちゃうんだもんなぁ。危ないなぁってなってから、乱入して邪魔して怒られるってパターンでちーちゃんが他の群れに入れられちゃうの防いでたけど、さ)それが、これからは堂々と庇えるのだ。
 (やっぱさぁ、目の前でちーちゃんが傷付けられるの見てて良い気はしなかったしぃ)おどおどと、こちらを伺ってくる千里に笑顔で返す。
「これからよろしくね、ちーちゃんっ」
「こ、こちらこそ、よろしく頼む」
 千里から差し出された手を、鋼は両手で握り返した。
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