Ωにしちゃってゴメンナサイ

三日月

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7 寮-Ⅱ

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 千里と鋼は、学園近くの喫茶店でランチを終え再び寮へ戻った。校則を守り制服を着ての外出だったが、これ以降は寮から出る予定もない。千里は、着替えるかと割り当てられているクローゼットを開け、適当にそこから服を取り出した。
 病院では、貸与された寝間着を毎日替えて使用していたが、下着は洗濯出来ずに鞄に入れたままだった。鋼の親が入院中に必要なものを揃えてくれていたので、数には困らず溜め込んでいたのだ。これまでは、同室だった漆戸が「ついでだから」と二人分の洗濯はもちろん、リネン室までシーツやタオルの交換にもせっせと足を運んでくれていたのだがこれからはそうも行かないだろう。
 チラッと同室になった鋼を見ると、さっさと部屋着に着替えて二段ベッドの下段で寝転んでいる。まるで、最初からこの部屋に住んでいたような寛ぎっぷりだ。千里も(背後から鋼にじっくり眺められているのことには気付かず)着替え、洗濯室へ行ってくると声を掛けた。
「え、アイツらが帰ってくるまで待ってたら良いのに」
 案の定、ルームメイト任せだった鋼らしい返答。いくら断っても「ついでだから」と千里に譲らなかった漆戸に比べて、鋼の場合は葛籠に強制していたのでは無いか。千里は、「自分でしてくる」と冷たく返して部屋を出る。鋼は、当たり前のように後ろからついてきた。
 中等部から全寮制の茅野学園では、基本、α社会同様に資質の強さに従い生活する。力の弱いαが強いαの面倒を見ることは黙認されいたのだが、ここ最近はその意味合いが変わってきていた。第3位の漆戸が、格下αに任せず自ら率先して穂高の分まで洗濯をしているからだ。その光景を目にした生徒が、自主的に尊敬するαの役に立とうと動くようになった。力の大小に限らず、αはプライドが高い。家に帰れば、使用人に傅かれることが当たり前の生徒が大半だ。その意識を変えてしまったことでも、千里の改革は生徒一人一人に深く浸透していた。
 千里は、洗濯室で洗濯機に放り込んでしまうと終わるまで部屋に一旦戻った。入院中の勉強の遅れが気になり机に座る。
「ちーちゃん、今から勉強するの?!推薦枠は俺がちゃんと取ってるし、成績なんて気にしなくていいのに」
「生徒会から離れた途端、成績が落ちたとは思われたくないんだ」
 人生設計を滅茶苦茶にされたからといって、千里は自分自身を律することをやめるつもりはなかった。これまで同様の「穂高 千里」を保っておかなければ、自分という核を保てそうにないのだ。変異種Ωに変えられたことは受け入れるしかないが、何もかも飲み込むには気持ちの整理がつかない。心のバランスを取るという意味でも、αとして卒業まで在籍するよう豆村に言われたことは「目標」として掲げるにはちょうど良かった。
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