69 / 111
8 食堂
10
しおりを挟む
漆戸は、頭を掻きながら「ハァ」と軽く息を吐いた。葛籠に明確な根拠は無さそうだし、自分にもそれは無い。もしもそうだったとしても、「異端だ」と責める立場にもないし止めようもないし理解は出来ないしで手詰まりだ。漆戸は、鋼が自分の常識で推し測れないことに慣れているので、いつものように可能性の一つとして頭の隅に置いておくことにした。
「笹部さんの考えを読めるわけないし、深く考えても正解に辿り着くとは限らない。ただ、穂高さんへのガードが固くなったのは事実として受け止めるぞ」
「まぁ、それについちゃ了解だ」
胡麻も異論はないと頷き、葛籠も「わかりました」と肯定。
「後の3名には、齟齬が無いよう俺から直接話す。自分の群れにも徹底させ、穂高さんを狙うバカは事前にこちらで仕留めるぞ」
穂高ナンバーズの6名は、鋼の群れに属しながら一人一人が自分の群れを形成していた。鋼の指示系統から見れば、孫受けとも言える。全て力の強いリーダーを中心としたパワー型の群れで、それぞれのリーダから命じられたことにメンバーは従順に従う。胡麻の群れは、穂高ナンバーズになる以前から形成されていた気心の知れた幼馴染のみの少数精鋭。葛籠の群れは、自分から穂高ナンバーズを希望して歯牙にかからなかった者から選抜されたもの。中でも30名を越す大所帯の漆戸の群れは、鋼から制裁を受けた者を監視する意味も含まれていた。
千里のクラスには勿論、高等部の各学年各クラスに必ず息のかかるメンバーが複数存在しており情報を統制するのに役立っている。ここまで網羅されていると、敵対勢力として頭角を現す前段階から芽を摘むのも容易い。『苛烈姫』の時代を知る教師から、「なんて平和な学園生活!!」と喜ばれるのは、この表向き千里を中心とした群れが学園の細部まで根を張り抑止力として働いているのが実感出来るからだ。
「んじゃ、例の一年はこっちでヤッて良いんだよな?」
当然許可するよな?と胡麻の目が爛々と輝く。今日の鬱憤を相手にぶつけようとしているのは明らかだ。
「待て、待て。アイツらは、まだ水面化で動いてるだけで証拠不足だ」
「あ"あ"?まだ尻尾捕まえてねーのかよ?!築花の野郎、生徒会の仕事にカマかけて手ぇ抜いてんじゃねぇだろうな」
この場にはいない穂高ナンバーズ第5位の築花 恭は、千里を守る警備役だ。下級生のため千里のそばに始終張り付くことは出来ず、自分の群れを使って千里の周りをガードしている。警備役は、当初胡麻の役目だったのだが、千里との距離が益々近くなり鋼が互いの役目を変えさせたのだ。
「笹部さんの考えを読めるわけないし、深く考えても正解に辿り着くとは限らない。ただ、穂高さんへのガードが固くなったのは事実として受け止めるぞ」
「まぁ、それについちゃ了解だ」
胡麻も異論はないと頷き、葛籠も「わかりました」と肯定。
「後の3名には、齟齬が無いよう俺から直接話す。自分の群れにも徹底させ、穂高さんを狙うバカは事前にこちらで仕留めるぞ」
穂高ナンバーズの6名は、鋼の群れに属しながら一人一人が自分の群れを形成していた。鋼の指示系統から見れば、孫受けとも言える。全て力の強いリーダーを中心としたパワー型の群れで、それぞれのリーダから命じられたことにメンバーは従順に従う。胡麻の群れは、穂高ナンバーズになる以前から形成されていた気心の知れた幼馴染のみの少数精鋭。葛籠の群れは、自分から穂高ナンバーズを希望して歯牙にかからなかった者から選抜されたもの。中でも30名を越す大所帯の漆戸の群れは、鋼から制裁を受けた者を監視する意味も含まれていた。
千里のクラスには勿論、高等部の各学年各クラスに必ず息のかかるメンバーが複数存在しており情報を統制するのに役立っている。ここまで網羅されていると、敵対勢力として頭角を現す前段階から芽を摘むのも容易い。『苛烈姫』の時代を知る教師から、「なんて平和な学園生活!!」と喜ばれるのは、この表向き千里を中心とした群れが学園の細部まで根を張り抑止力として働いているのが実感出来るからだ。
「んじゃ、例の一年はこっちでヤッて良いんだよな?」
当然許可するよな?と胡麻の目が爛々と輝く。今日の鬱憤を相手にぶつけようとしているのは明らかだ。
「待て、待て。アイツらは、まだ水面化で動いてるだけで証拠不足だ」
「あ"あ"?まだ尻尾捕まえてねーのかよ?!築花の野郎、生徒会の仕事にカマかけて手ぇ抜いてんじゃねぇだろうな」
この場にはいない穂高ナンバーズ第5位の築花 恭は、千里を守る警備役だ。下級生のため千里のそばに始終張り付くことは出来ず、自分の群れを使って千里の周りをガードしている。警備役は、当初胡麻の役目だったのだが、千里との距離が益々近くなり鋼が互いの役目を変えさせたのだ。
2
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる