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10 寮-Ⅲ
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退院後の初登校は、鋼と千里が過労で倒れたという噂が広がっていたためちょっとした騒ぎになった。まずは、教室に入るのを待ち構えていたのが現生徒会。生徒会長を筆頭に生徒会役員が揃って千里の机の前に横並びで出迎えた。「我々の力不足で申し訳ありませんっっ」と、一斉に直立不動からの膝に頭がつくほど深々と頭を下げて謝る。千里が「自分の管理不足だから」と相手に非がないことを伝えても、何かしら鋼と千里に負担をかけた心当たりがある生徒は次々やってきた。千里の席は、教室の中央のあたり。鋼は、同じクラスで窓際の前列。千里に謝罪をした生徒は、流れるように鋼の座る席へ進み同じことを繰り返すから教室は一気に騒がしくなった。(どうしたものか・・・)廊下まで続く謝罪行脚の列に、対応しながらも千里は困惑する。途中でやめさせようと試みたが、謝罪した生徒がホッとした表情で移動するのを見た生徒は納得してくれない。困ったときは鋼だと、思わず視線を向けるが・・・逸らされた。こんなことは初めてでは無いだろうか。鋼が自分の下についてから、多少からかったり遊ばれたりの前ふりはあっても千里のフォローを買って出てくれていたのに。「ちーちゃんは、仕方ないなぁ」とむしろ嬉しげに頼らせてくれていたのに。
「おい、はが」
「はーい、ここまでっ」
鋼を呼ぶ声が、教室に滑り込んできた漆戸の声で掻き消される。
「そんなっ、俺は穂高さんに体育祭の準備を手伝っていただきお時間を取らせていたんです!謝らせてくださいっ」
「俺も、先輩にわからないことを聞きに行ってしまいご負担をかけました」
「俺は、お忙しいと知りながら後期の部活動の相談をしてしまってたんですっ」
遮られた生徒達が、千里の前に割り込んできた漆戸へ懇願するが聞き入れられない。
「気持ちはわかるけど、考えてみろよ。穂高さんは、退院したからって全快したわけじゃない。これまでどれだけの仕事を抱えていたか、頼っていたお前らが一番わかってるだろう。この場でお前たちは謝れば満足するかもしれないが、それに対応させるってことはまた穂高さんへ負担をかけるをってことだぜ?はーい、解散、解散っ」
中には、千里の代わりに動いていた漆戸へ見舞いの品を託そうとして断られていた生徒もいた。二度も漆戸に断られ、不満を隠せない。あとからやって来た葛籠も加わり、生徒は廊下へ押し出されていった。千里は申し訳無いなとは思うが、漆戸たちにその場の整理を任せて席に座り直す。鋼ならば、もっと短時間で収めただろう。「ちーちゃんも一人ひとり聞いてたら大変だから、せーのでありがとうって言って終わりにしようなぁ」と雑にまとめて散らすくらいしそうだ。鋼が動けば、生徒たちも文句は言わないだろうに。千里は動かない鋼を不思議に思いつつ、授業の用意へ思考を切り替えた。
「おい、はが」
「はーい、ここまでっ」
鋼を呼ぶ声が、教室に滑り込んできた漆戸の声で掻き消される。
「そんなっ、俺は穂高さんに体育祭の準備を手伝っていただきお時間を取らせていたんです!謝らせてくださいっ」
「俺も、先輩にわからないことを聞きに行ってしまいご負担をかけました」
「俺は、お忙しいと知りながら後期の部活動の相談をしてしまってたんですっ」
遮られた生徒達が、千里の前に割り込んできた漆戸へ懇願するが聞き入れられない。
「気持ちはわかるけど、考えてみろよ。穂高さんは、退院したからって全快したわけじゃない。これまでどれだけの仕事を抱えていたか、頼っていたお前らが一番わかってるだろう。この場でお前たちは謝れば満足するかもしれないが、それに対応させるってことはまた穂高さんへ負担をかけるをってことだぜ?はーい、解散、解散っ」
中には、千里の代わりに動いていた漆戸へ見舞いの品を託そうとして断られていた生徒もいた。二度も漆戸に断られ、不満を隠せない。あとからやって来た葛籠も加わり、生徒は廊下へ押し出されていった。千里は申し訳無いなとは思うが、漆戸たちにその場の整理を任せて席に座り直す。鋼ならば、もっと短時間で収めただろう。「ちーちゃんも一人ひとり聞いてたら大変だから、せーのでありがとうって言って終わりにしようなぁ」と雑にまとめて散らすくらいしそうだ。鋼が動けば、生徒たちも文句は言わないだろうに。千里は動かない鋼を不思議に思いつつ、授業の用意へ思考を切り替えた。
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