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10 寮-Ⅲ
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鋼にとって千里は、出会ってからずっと特別な同世代、許されるなら自分のΩにしたいと思い続けていた相手だ。わざとではないがそれを実行してしまい、番にはなれていなくてもすでに自分の妻である。今までのように(大切だからと囲うためにしていたこととはいえ)不必要に千里を丸め込みたくない。誠実でありたい。目を閉じていても、千里が黙って待ってくれているのが伝わってくる。鋼は、どう答えようかと迷いに迷う。
記憶を呼び覚ますようなことは避けたいし、素直に理由を話すわけにも行かないし。でも、ちゃんと答えたいし。
「いやー、あの、見るだけじゃ止められなくなる、と思うし。止めといたほうがよくないかな?その、ちーちゃんに迷惑?かけちゃうからさぁ」
言葉を選ぼうとしたが、迷いが先行。選びきれずに、まるで説得力もなければ筋も通らない返事しか出来なかった。
それに、千里が納得出来るわけがない。Ωに変えた以上の迷惑がこの世にまだあると言うのか?と見当違いに訝しんだ。マジマジと目を閉じた鋼の横顔を眺めるが、珍しく苦悩の色が滲んでいる。(真剣に話を聞く必要があるようだな)千里は、ひとまず怒りを収めることにした。
「では、ベットに座れ」
そう言って、自分は梯子によりかかることで横並びになる。千里を見ないようにしていると自白した鋼に配慮して横並び、かつ、頭の位置も上下で離れる。互いに注意していれば、目が合うことはないだろう。そろーっと鋼が目を開けたので、千里はそっぽを向きながら座る場所を指定する。わかりやすくココだと指で示した場所は、すぐ隣。
鋼はうんうん唸りはしたものの(えーあーうー、近いんだけど、座って・・・んー座るくらいなら大丈夫かぁ?)、千里とついつい本能に従い座ってしまった。肘を膝につけ、しっかりと両手は組んで額に固定。手を出さず、目を合わせように努力はしてみせる。千里から見れば、頑なに目を合わせようとしない姿勢がよっぽど何か深い理由があるのだなと、改めて気を引き締めるには十分だった。
「それで、迷惑とはなんだ?」
思いつめた口調の千里から話を振られ、鋼はポツポツと自分がしたくなることを白状することにした。無視する態度を改めるにしても、許される範囲をここで確認するのは良い機会だと思ったのだ。
「えーっと、ちーちゃんと目が合っちゃうとさ。俺、ちーちゃんに触りたくなるんだよ」
「・・・そうか」
ちらっと横目で伺った千里の気配に嫌悪は無かった。「ふざけるなっ」とこの時点で怒られると思っていたのでホッとした。ちょっと気持ちが軽くなり、舌の動きも滑らかになる。
「それに、そばにいたら手を繋ぎたくなるし」
「・・・それで?」
あっさりその先まで促されるので、あっという間に躊躇いも無くなってしまった。千里不足の一日だったので、息遣いも感じられる距離にいるのも拍車をかけた。指を解きそうになるのはなんとか耐えた。
「ギュッて抱きしめたり、舐めたり、噛んだり・・・」
「な、何を言い出すんだっ、黙れっ、バカネッッ」
まだ途中なのに、頭を両手で挟まれグラグラ揺らされる。
「聞いたの、ちーちゃんなのにっ」
「そんな馬鹿げたことを言うなんて思ってなかったんだっっ」
ついつい千里の手首を捕まえ、引き寄せてしまう。口を尖らせ拗ねるふりをしていても、プリプリ怒るいつものちーちゃんにニコニコしてしまう。頬を赤く染めている千里に羞恥は感じられても、自分への拒絶は無い。手を振り解こうとするより、顔を隠そうとしているのが腕の動きで丸わかりだからだ。鋼の頭から、すっかり忘れちゃいけない千里の取り扱い注意事項が飛んでしまった。こんなに近くに自分から来てくれたのに、離すなんてそれこそ馬鹿げた行為。ニヤリといつもの調子に戻り、「ちーちゃん、かぁわいぃっ」と千里の初心さを至近距離で愛でた。
記憶を呼び覚ますようなことは避けたいし、素直に理由を話すわけにも行かないし。でも、ちゃんと答えたいし。
「いやー、あの、見るだけじゃ止められなくなる、と思うし。止めといたほうがよくないかな?その、ちーちゃんに迷惑?かけちゃうからさぁ」
言葉を選ぼうとしたが、迷いが先行。選びきれずに、まるで説得力もなければ筋も通らない返事しか出来なかった。
それに、千里が納得出来るわけがない。Ωに変えた以上の迷惑がこの世にまだあると言うのか?と見当違いに訝しんだ。マジマジと目を閉じた鋼の横顔を眺めるが、珍しく苦悩の色が滲んでいる。(真剣に話を聞く必要があるようだな)千里は、ひとまず怒りを収めることにした。
「では、ベットに座れ」
そう言って、自分は梯子によりかかることで横並びになる。千里を見ないようにしていると自白した鋼に配慮して横並び、かつ、頭の位置も上下で離れる。互いに注意していれば、目が合うことはないだろう。そろーっと鋼が目を開けたので、千里はそっぽを向きながら座る場所を指定する。わかりやすくココだと指で示した場所は、すぐ隣。
鋼はうんうん唸りはしたものの(えーあーうー、近いんだけど、座って・・・んー座るくらいなら大丈夫かぁ?)、千里とついつい本能に従い座ってしまった。肘を膝につけ、しっかりと両手は組んで額に固定。手を出さず、目を合わせように努力はしてみせる。千里から見れば、頑なに目を合わせようとしない姿勢がよっぽど何か深い理由があるのだなと、改めて気を引き締めるには十分だった。
「それで、迷惑とはなんだ?」
思いつめた口調の千里から話を振られ、鋼はポツポツと自分がしたくなることを白状することにした。無視する態度を改めるにしても、許される範囲をここで確認するのは良い機会だと思ったのだ。
「えーっと、ちーちゃんと目が合っちゃうとさ。俺、ちーちゃんに触りたくなるんだよ」
「・・・そうか」
ちらっと横目で伺った千里の気配に嫌悪は無かった。「ふざけるなっ」とこの時点で怒られると思っていたのでホッとした。ちょっと気持ちが軽くなり、舌の動きも滑らかになる。
「それに、そばにいたら手を繋ぎたくなるし」
「・・・それで?」
あっさりその先まで促されるので、あっという間に躊躇いも無くなってしまった。千里不足の一日だったので、息遣いも感じられる距離にいるのも拍車をかけた。指を解きそうになるのはなんとか耐えた。
「ギュッて抱きしめたり、舐めたり、噛んだり・・・」
「な、何を言い出すんだっ、黙れっ、バカネッッ」
まだ途中なのに、頭を両手で挟まれグラグラ揺らされる。
「聞いたの、ちーちゃんなのにっ」
「そんな馬鹿げたことを言うなんて思ってなかったんだっっ」
ついつい千里の手首を捕まえ、引き寄せてしまう。口を尖らせ拗ねるふりをしていても、プリプリ怒るいつものちーちゃんにニコニコしてしまう。頬を赤く染めている千里に羞恥は感じられても、自分への拒絶は無い。手を振り解こうとするより、顔を隠そうとしているのが腕の動きで丸わかりだからだ。鋼の頭から、すっかり忘れちゃいけない千里の取り扱い注意事項が飛んでしまった。こんなに近くに自分から来てくれたのに、離すなんてそれこそ馬鹿げた行為。ニヤリといつもの調子に戻り、「ちーちゃん、かぁわいぃっ」と千里の初心さを至近距離で愛でた。
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