Ωにしちゃってゴメンナサイ

三日月

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13 笹部家食卓-Ⅱ

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 突き飛ばされた鋼は、まさか拒まれるとは思っておらず千里の力に負けて数歩後ろに下がってしまった。(なんで・・・?)千里が口で嫌がる素振りを見せることはあっても、それを鋼は戯れているとしか感じていなかった。こんなに強く拒まれたのは初めてかもしれない。ショックでウルッと鋼の瞳が潤む。優生学園では決して見せない顔だが、ここは末っ子として甘やかされていた実家だ。尊大に見せる必要もなければ、自分を擁護してくれる仲間がたくさんいるので気も緩む。途方に暮れた顔で千里を見返し、予想外に傷ついた顔をされた千里は驚いて固まってしまった。
 鋼は、学園から離れ、関係者しかいないこの集落で千里と過ごすウキウキワクワク冬期休暇にうかれていた。電車の二人旅も楽しかったけれど、他人の目もあるからそこまでおおっぴらには出来ないなぁと鋼なりに千里に触れるのをセーブしていた。車の中では案内に忙しく、帰宅していよいよギア全開で千里をたっぷり優しく甘やかして懐柔して好きになってもらっていちゃいちゃして、もしタイミングが合えば冬期休暇中に番にして、このまま学園に戻らず卒業してしまえるのにと自分本位の未来理想図を広げていたくらいここでの休暇になんの不安もなかった。
 それなのに、千里からの拒絶。(いやいや、何かの間違い・・・虫がついて払いのけてくれたとか?)秒で気持ちを立て直し、鋼は千里に抱きつこうと近付いた。
「ちーちゃんっ」
「それ以上、来るな」
「えぇ・・・」
 拒絶を言葉にまでされ、右掌を突き出して止められ、鋼はオロオロしてしまう。こんなことは、予定に無かった。こころに紹介したあとは、次は鈴。「絶対に食べさせちゃだめよ」と長年心配していた鈴に、「俺のちーちゃんなんだから、ほら、大丈夫だった」と、そこにいる福とこころのように千里を抱き寄せて紹介して。休憩が済んだら、外で待ち構えてる親戚に恥ずかしがるけどおとなしくついてくる千里を「俺の妻だっ」と紹介して回る予定だったのに。既成事実を何重にも千里の前で確認して、この集落にいる間は真面目な千里が周囲の期待に応えるために鋼の妻として動かざるを得ないようにするつもりだったのに。
「あらあら~?」
 こころは、二人の間に立ち込めた不穏な空気に首を傾げる。鋼がお嫁さんを連れて帰ってくると聞いていたのに、福と自分のように仲良しでは無い。(えーっと、ケンカかしら?)
 一方の福は、突然変わった千里の態度を良い傾向だなと感じていた。千里が、何故か鋼を自分の相手として考え始めている。自分に対して色欲を見せた鋼に、驚いてとっさに触れられるのを避けるくらい意識した。全くそこに鋼への好意が無いのは残念ではあるが、自分自身や鋼を殺しかねない危うさは感じない。良かったじゃないかと息子に目を向ければ、ショックで半べそをかいている様子に目が点になる。(なぜ、これを喜べないんだ?ここは、自分を意識してくれたことに感謝するところだぞっ)まさか鋼が、楽天家も極まる想像しかしてないとは思いもしていなかった。
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