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閑話休題(黒曜&雅)
挨拶回り side 雅 1
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「この度、今まで空き家になっていましたあの家に引っ越してきました相澤デス。
後ろにいるのが、高校生の息子と大学生の親戚デス。
よろしくお願いしマス」
「これ、つまらない物ですがどうぞ」
「では、失礼いたしマス」
母さんの後ろから、俺と人間に化けた黒曜が着いてまわる。
引越し蕎麦を抱えてのご近所めぐり。
ひたすら繰り返すこの言葉とお辞儀。
母さんと俺の、無駄の無い連携プレイだ。
これから住むことになったあの家の回り。
隣近所や自治会役員の家へ、うろうろと三人で歩き回り顔を覚えてもらう。
段取りとしては。
まずは、母さんが挨拶。
間髪いれずに、俺が蕎麦を渡してさっさと退散。
その間、5分もないのに・・・
玄関を開けてくれた人の目は、母さんと俺への挨拶を交わしていると。。
後ろで無言のまま立っているだけの黒曜に、釘付けになる。
中には話を引き伸ばしながら、黒曜に触ってこようとする人までいる。
特に、おばちゃん、おばあちゃん世代!
「まぁ、芸能人かしら~」と言いつつ、手はすでに黒曜に伸びてるのが怖い。
俺と母さんが、「急いでますので!」と間に割りこんでガード。
どこの家か忘れたけど、黒曜に抱きつこうとするおばちゃんがいて。
慌てて俺が止めに入ったときは、ヒヤリと背筋が冷たくなった。
そのときの黒曜のあの目・・・苛立ちと煩わしさで目つきがやばかった。
それ以降は、俺よりも母さんの方が必死。
挨拶をし始めたときは、母さんの後ろに俺と黒曜は横並びだったけど。
そこからは、俺の更に後ろへ配置変更。
最後の一箱が無くなった帰り道。
空の紙袋を折りながら、俺は「はぁ~」と今までで一番深くて長い安堵の溜め息を吐き出していた。
母さんも気疲れでぐったり。
目が空ろだ。
「大丈夫・・・?」
「大丈夫とは言い難いナ。
暫く人の前に出たくない・・・」
両目の疲れを取るように、こめかみをマッサージしながら家路を急ぐ。
こんなに疲れてる姿、初めて見るな。
いつも余裕たっぷりで、おおらかなイメージが強いのに。
まぁ、俺も・・・黒曜が何かしてしまわないかとハラハラしてて疲れた。
「雅、もう役目は終わりだろう。
オレは出かけるぞ?」
そんな俺達の様子を見て、黒曜は用事が済んだと察したんだろうな。
俺にこの場から立ち去ると言ってきた。
後ろにいるのが、高校生の息子と大学生の親戚デス。
よろしくお願いしマス」
「これ、つまらない物ですがどうぞ」
「では、失礼いたしマス」
母さんの後ろから、俺と人間に化けた黒曜が着いてまわる。
引越し蕎麦を抱えてのご近所めぐり。
ひたすら繰り返すこの言葉とお辞儀。
母さんと俺の、無駄の無い連携プレイだ。
これから住むことになったあの家の回り。
隣近所や自治会役員の家へ、うろうろと三人で歩き回り顔を覚えてもらう。
段取りとしては。
まずは、母さんが挨拶。
間髪いれずに、俺が蕎麦を渡してさっさと退散。
その間、5分もないのに・・・
玄関を開けてくれた人の目は、母さんと俺への挨拶を交わしていると。。
後ろで無言のまま立っているだけの黒曜に、釘付けになる。
中には話を引き伸ばしながら、黒曜に触ってこようとする人までいる。
特に、おばちゃん、おばあちゃん世代!
「まぁ、芸能人かしら~」と言いつつ、手はすでに黒曜に伸びてるのが怖い。
俺と母さんが、「急いでますので!」と間に割りこんでガード。
どこの家か忘れたけど、黒曜に抱きつこうとするおばちゃんがいて。
慌てて俺が止めに入ったときは、ヒヤリと背筋が冷たくなった。
そのときの黒曜のあの目・・・苛立ちと煩わしさで目つきがやばかった。
それ以降は、俺よりも母さんの方が必死。
挨拶をし始めたときは、母さんの後ろに俺と黒曜は横並びだったけど。
そこからは、俺の更に後ろへ配置変更。
最後の一箱が無くなった帰り道。
空の紙袋を折りながら、俺は「はぁ~」と今までで一番深くて長い安堵の溜め息を吐き出していた。
母さんも気疲れでぐったり。
目が空ろだ。
「大丈夫・・・?」
「大丈夫とは言い難いナ。
暫く人の前に出たくない・・・」
両目の疲れを取るように、こめかみをマッサージしながら家路を急ぐ。
こんなに疲れてる姿、初めて見るな。
いつも余裕たっぷりで、おおらかなイメージが強いのに。
まぁ、俺も・・・黒曜が何かしてしまわないかとハラハラしてて疲れた。
「雅、もう役目は終わりだろう。
オレは出かけるぞ?」
そんな俺達の様子を見て、黒曜は用事が済んだと察したんだろうな。
俺にこの場から立ち去ると言ってきた。
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