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閑話休題(黒曜&雅)
新居 side 雅 2
しおりを挟む「さ、これから挨拶回りだゾ!
このあたりは、なかなか仲良しな地域らしい。
隣近所には、ちゃんと挨拶するようにリアンから言われてイル。
地域行事に関しては、こっちが出る。
回覧板が回ってきたら、随時写真データを送ってクレ。」
「挨拶周り・・・?」
「空家だったところに人が住み始めると、何かと詮索されやすいとかデ。
こっちから先手を打つように、蕎麦を持たされた。
普段ここに住む雅ちゃんと、この方の顔を見てもらう必要があるらしい。
ってことで、ダ。
ミヤビちゃんからこの方に、人間にうまく化けるようお願いしてくれ。
ミヤビちゃんより、ちょっと上の・・・そうだな、瑛二くらいでヨロシク」
「え!?」
母さんが指差した先に会ったのは、玄関に積み上げられた木箱と紙袋の山。
全部、蕎麦だったのか。
しかも、配るって・・・20箱以上あるんだけど。
「でも、人間って・・・」
「まさか、高校生一人暮らしなんていえないダロウ?
心配して巡回されても迷惑ダ。
普段は二人暮しで、片方はしっかり成人してますって見せとく方がイイ。
アキヒメは、そうチョクチョク来れないからナ」
・・・化け、れるのか?
まぁ、服も自由自在だし、床から木を生やしたり変わったことも出来る。
なんか、出来ることより出来ないことのほうが探すの難しそうだし、出来そうか?
「あのさ、黒曜。
人間に化けれる?」
出来るという前提で、俺は軽く聞いてみたつもりだったのに。
無表情だった黒曜の目が見開き、一気に眉間の皺が刻み込まれた。
「人間に、化けろと?」
低く曇った声は、明らかに不機嫌で怒ってるっ
出会った頃の黒曜に逆戻り。
冷たい視線が突き刺さってくる。
「ここに住むには、そうするしかないらしいし。
頼むよ、黒曜。
出来れば、オレの治療していた瑛二さんくらいで」
両手を合わせて、お願いっ
黒曜は、心底嫌そうに溜息。
「雅は、ここに住む必要があるのか?」
「そりゃ、学校もあるし。
ばあちゃんのとこには、危険で戻れないって言われているし」
それに、まさかばあちゃんの寝てる隣の部屋で黒曜とアレコレ出来ないし。
二人の方が、俺としては嬉しいしっ
さすがに口にはしないけど、見下ろす黒曜には多少伝わったみたいだ。
眉間の皺が薄まり、困ったような顔になる。
「・・・そういう以前の問題、だ」
「ん?なんて??」
小さすぎる黒曜の声が聞こえなくて、袖を引っ張り口元に顔を近づける。
黒曜は、もう一度言い直そうと。
一瞬口は開いたのに、すぐに閉じてしまった。
そのまま、目があった状態になって無言。
俺の方が、黒曜に魅入ってしまう。
自分から近づけといて、なんだけど。
すぐ目の前にいる黒曜は、不機嫌そうなんだけど。
昨日自分が黒曜としようとしていたことを、こう、思い出してしまって。
顔が熱くなってくのが自分でも分かる。
うわー、俺、ちゃんと出来るのかな??
だって、今日からここに住むんだろ??
ってことは、今日こそはってことだろ??
「・・・わかった」
どれくらい見つめあってたかは分からない。
でも、挙動不審の俺の頭に手を置いて。
黒曜は、深々と溜息。
最終的には、人間に化けることを了承してくれた。
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