鬼ごっこ~あのこがほしい~

三日月

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閑話休題(黒曜&雅)

新居 side 雅 1

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黒曜の様子が、おかしい。

御山で、瑛二さんからもらった・・・エ、エネマグラを入れたまま散歩しようとして失敗。
散歩途中で帰ってきてから・・・黒曜の様子が、おかしいんだよな。

まずは、外見。

髪とか目とか。
漆黒で塗りつぶしたくらい真っ暗なのに、艶々輝いて見える綺麗な黒から黒曜って名前をつけたのに。
そのどちらも、軽く脱色したような茶色の明るい色に変わっていた。
ログハウスの扉を開けた京一郎も俺も、しばらくガン見。
黒曜から目を離せずに、無言。

黒曜は、固まった俺達を全然気にしたそぶりも見せず。
床になんか膝を折ってたんだけど。
すっと立ち上がってさ。
少し出かけると口にして、入れ違いに姿を消してしまった。

その日の夜。
俺は、ベッドで緊張して寝れなくて。
いつ帰ってくるのかなって、ずっと待っていたのに・・・
黒曜は、結局戻ってこなかった。

帰ってきたのは、翌日昼過ぎ。
京一郎も瑠璃丸も、相手を待たせてるからって先に帰ってしまうし。
俺と母さんは、予定していた朝からずっと手持ち無沙汰で待ちぼうけ。

まぁ、待ってる間に寝たりゆっくり話せたからいいんだけど、さ。
黒曜は、帰ってきてからもよそよそしくて。
俺の後ろが定位置。
振り向いても視線をそらされてしまう。

なにかあったとしか思えない!

つっこんで聞いておきたかったけど。

「じゃ、行こうカ」

母さんは、遅れてきた黒曜には何も言わないまま。
次の予定もあるから急ごうと促されて、後回し。
”鬼走り”で、用意された新居まで移動した。






「うわー、ここ住めるとこだったんだ」

到着したのは、平屋建ての庭先。
そこは、俺も知っている場所だった。

高校でも有名な”幽霊屋敷”、が、あった場所。
多少見てくれは変わってたけど、手直ししたくらいで人が住めそうにないくらい、草木が生い茂ってたはずだ。

12時を知らせる学校のチャイムが、耳に入ってくる。
高校から徒歩5分以内にある、道路からは木とオンボロ屋根しか見えなかった幽霊屋敷。
良い隠れ家になるんじゃないかと忍び込んだ友達も、家の中まで侵入するのを躊躇うくらいボロボロだったとすぐに帰って来たところ。

そのとき、絶対幽霊が出るぞ!と力説された場所なんだけどな。
まさか、住むことになるとは・・・
ここ・・・大丈夫なのか?

チェーンが巻かれていた、錆び付いた門は開けられ。
焦げ茶色の錆びだらけだった門も、赤いペンキが塗りなおされていて、塀だって蔦が全部門無くなっていて真っ白。
一見、同じ場所とは思えない。
瓦が抜け落ちていた屋根も、修復済み。
オレの身長より高い塀に囲まれ庭は、更にその上をいく伸び放題の木で覆いつくされてたけど。
今は光が射すように、随分剪定されている。

「なんだ、ミヤビちゃんは知ってるとこなのカ?
しばらく空き家だったらしいが、この一ヶ月で家の中はリフォーム済ダ。
買い取ったから、好きに改造して良いゾ」

母さんと、その契った鬼である小雪さんに家の中も案内される。
リフォームっていうか、全面改装だよな。
水周りだけじゃなくて、床も柱も壁も窓も全部真新しい。
家中、新築特有の木の匂いでいっぱいだ。
ついでに、家電製品も全部揃えられいて。
ばあちゃんのとこにあった俺の荷物も、全部運び込まれていた。

ここまでされたら、幽霊だって住みにくいだろう。
いたとしても、俺には黒曜がいるしな。
まぁ、大丈夫だろう。
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