鬼ごっこ~あのこがほしい~

三日月

文字の大きさ
12 / 195

裏技1

しおりを挟む
「では、話を進める前に、キョウイチロウくんに新たな知恵を授けよう」

お師匠様と現当主のいちゃいちゃも、ようやく終了したようだ。
現当主もお師匠様も立ち上がり、私たちの方へ近づいてくる。

恋人繋ぎ、で。

え~っと、この二人。
ずっとこんな感じなんですか?

ここにつれてこられているのは、私たちだけじゃない。
このまま内輪で話を進めていたら、角無し鬼がいつか怒り出すんじゃ・・・

ちらっと後方を見れば。
畳の上に寝たままの光る人。
その傍に跪き、角無し鬼はじっと見下ろしている。
光が強すぎて把握でなかったけど、どうやら寝ているのか気を失っているのか。
目覚めを待っているみたいだな。

お師匠様の声が、弾む。

「鬼や角無し鬼の糧とはな~んだ?」
「汗と涙と血、それと肉や骨、毛です」

うんうん、即答正解オメデトウとお師匠様は笑う。
あ、機嫌がかなりいいな。

「ただしそれは、一般的に、身の丈にあった鬼と契った場合。
気づいてたはずだよネ?
キョウイチロウくんとルリルリは、明らかにアンバランス。
ルリルリが力を抑制してるから、君は鬼落ちせずにすんでるって」
「はい」

改めて突きつけられる事実に、素直に頷く。

他の捕縛師が連れている元鬼に比べて、瑠璃丸の力は強い。
容姿がそれを物語っている。
神宮寺家でも二体しかいない、属性持ちと呼ばれる最高ランクの力を有している。
でも、私に力がないから全力は出せていない。

「それに、ルリルリがいつも空腹を我慢してるのも気づいてるよね?」
「・・・はい」

私が自分で調整し、渡せるのは血だけ。
涙より栄養価は高いらしいが、一定量しか渡せない。
瑠璃丸が、街中で保護対象にならない弱々しい光る人を目にすると。
脆弱な光を無意識に目で追っているのを知っている。

「力は、今後のキョウイチロウくんのノビシロ次第。
空腹対策として、今回は裏技を教えます。
今答えたもの以外で、キミの身体にあるもので。
糧となるのはな~んだ?」

え、おおざっぱすぎる質問。
それでも、お師匠に聞かれたら答えないと。
鼻水含む排泄物は混じり物が多すぎて入らないというのは知っている。
他に、なにか・・・・

「はい、時間切れ」

「いや、まだちょとしか時間・・・」

お師匠様は、ニマニマと人の悪い笑みを浮かべ。
当主も扇子で口元は隠している。

「即答しか認めません。
さ、ルリルリ!
この場で教えられる範囲で、キョウイチロウくんに正解を実践で教えてあげて~
キョウイチロウくんは、ルリルリの正面に座る!」

条件反射で、言われるがままに正面で正座。
そこで、やっと気づいた。

瑠璃丸が、力を使い果たした空腹の状態で。
極上認定の光る人と同じ部屋にいつづける環境。
食欲を押さえることが、どれだけつらいことなのか。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

チョコのように蕩ける露出狂と5歳児

ミクリ21
BL
露出狂と5歳児の話。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...