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前日譚(黒曜&雅)
生い立ち
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「ミーヤ、何かあったの?」
扉にもたれかかり、ぐったりと身体を預けていた俺の上に影が差す。
見上げると、俺のばあちゃん。
正確には、曾祖母にあたるソフィアばあちゃん。
俺を育ててくれた人が立っていた。
「い、や、別に何もねーよ。
あーっと、その、片付けんの、ボチボチでいいか?
なんかいろいろ、ごちゃごちゃしてるから進まなくて」
俺の頭ん中もだけど。
「いいわよ。
それよりミーヤ、服が破れてるわよ?」
服を触ろうとするばあちゃんから、慌てて右腕を遠ざける。
やばい、傷口見られたら驚かれる。
俺よりも、俺が怪我しないの知ってる人だし。
「あ、なんか、ひっかけたのかな??
また、繕ってくれる?」
「ミーヤは相変わらずねぇ」
ふわふわと笑うばあちゃん。
アメリカ人のばあちゃんは、日本語はペラペラなのに雅の発音は難しいらしい。
俺のことを、小さいときからミーヤと呼ぶ。
多分、もう、十分雅って言える筈だけど直さない。
ただでさえ女みたいな名前なのに、ミーヤなんて益々・・・だけど。
ばあちゃんの優しい呼び方が好きで小さい頃から受け入れたら、周りにも伝染。
ミーヤ→みゃあ(猫の鳴き声)→猫→馬鹿猫、なんてからかわれた時期も、あった。
両親と暮らさず、曾祖母と暮らしていた俺は的にしやすかったん、だろうな。
中学生までは、女子よりチビで、ねこちゃんなんてからかわれてたし。
不名誉な黒歴史だ。
さすがに身長180cmも超えたら、この外見もあって誰も言ってこなくなった。
ばあちゃんや父さん譲りの青い瞳と、赤みがかった茶髪。
母さん譲りのちょっととんがった目つき。
怖がられるか、喧嘩売られることが多くなってきて。
最近は、それもそれで対応がめんどくさいことになってきた。
「鍵も預かっといていいか?」
「春休みの間は使うことないし、ミーヤに預けておくわ。
それより、お昼にしましょう。
今日は10人のお友だちが来ているわ。
新しいお友だちはいないから、皆ミーヤと食べたいんですって」
立ち上がろうとして、ばあちゃんから手を差しのべられる。
さすがに無理だろうと、断り自力で立ち上がった。
ばあちゃんの言ってる友達は。
俺たちが住んでる、学童保育所に預けられに来るチビたちのこと。
元々教会に併設されていた孤児院。
そこをリフォームして、今は学童保育所を運営してる。
ばあちゃんはそこに住み込みで働いていて、オレも一緒に暮らしてる。
中学生までは、遊びがてらチビたちと遊んでたんだけど。
高校生になってからは、外でアルバイトに変更。
去年から一年がかりでグングン伸びた身長。
俺的にはすんげぇ嬉しかったけど、誤算があった。
古参の保護者には理解されても。
この外見は、新しいチビやその親には怖がられるからだ。
「明日からシフト次第で空けるし、今日は一緒に食べとこうかな」
「その方が、お友達も先生も喜ぶわ」
扉一枚隔てたそこには、主様がいる。
あんまりこっち側で遊ばないように、注意もしたかったからちょうどいいな。
扉にもたれかかり、ぐったりと身体を預けていた俺の上に影が差す。
見上げると、俺のばあちゃん。
正確には、曾祖母にあたるソフィアばあちゃん。
俺を育ててくれた人が立っていた。
「い、や、別に何もねーよ。
あーっと、その、片付けんの、ボチボチでいいか?
なんかいろいろ、ごちゃごちゃしてるから進まなくて」
俺の頭ん中もだけど。
「いいわよ。
それよりミーヤ、服が破れてるわよ?」
服を触ろうとするばあちゃんから、慌てて右腕を遠ざける。
やばい、傷口見られたら驚かれる。
俺よりも、俺が怪我しないの知ってる人だし。
「あ、なんか、ひっかけたのかな??
また、繕ってくれる?」
「ミーヤは相変わらずねぇ」
ふわふわと笑うばあちゃん。
アメリカ人のばあちゃんは、日本語はペラペラなのに雅の発音は難しいらしい。
俺のことを、小さいときからミーヤと呼ぶ。
多分、もう、十分雅って言える筈だけど直さない。
ただでさえ女みたいな名前なのに、ミーヤなんて益々・・・だけど。
ばあちゃんの優しい呼び方が好きで小さい頃から受け入れたら、周りにも伝染。
ミーヤ→みゃあ(猫の鳴き声)→猫→馬鹿猫、なんてからかわれた時期も、あった。
両親と暮らさず、曾祖母と暮らしていた俺は的にしやすかったん、だろうな。
中学生までは、女子よりチビで、ねこちゃんなんてからかわれてたし。
不名誉な黒歴史だ。
さすがに身長180cmも超えたら、この外見もあって誰も言ってこなくなった。
ばあちゃんや父さん譲りの青い瞳と、赤みがかった茶髪。
母さん譲りのちょっととんがった目つき。
怖がられるか、喧嘩売られることが多くなってきて。
最近は、それもそれで対応がめんどくさいことになってきた。
「鍵も預かっといていいか?」
「春休みの間は使うことないし、ミーヤに預けておくわ。
それより、お昼にしましょう。
今日は10人のお友だちが来ているわ。
新しいお友だちはいないから、皆ミーヤと食べたいんですって」
立ち上がろうとして、ばあちゃんから手を差しのべられる。
さすがに無理だろうと、断り自力で立ち上がった。
ばあちゃんの言ってる友達は。
俺たちが住んでる、学童保育所に預けられに来るチビたちのこと。
元々教会に併設されていた孤児院。
そこをリフォームして、今は学童保育所を運営してる。
ばあちゃんはそこに住み込みで働いていて、オレも一緒に暮らしてる。
中学生までは、遊びがてらチビたちと遊んでたんだけど。
高校生になってからは、外でアルバイトに変更。
去年から一年がかりでグングン伸びた身長。
俺的にはすんげぇ嬉しかったけど、誤算があった。
古参の保護者には理解されても。
この外見は、新しいチビやその親には怖がられるからだ。
「明日からシフト次第で空けるし、今日は一緒に食べとこうかな」
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