テリトリー

三日月

文字の大きさ
1 / 11

1

しおりを挟む
――――時は、世紀末。
あなたの身近に迫る危険を見抜け!
世紀末を乗り越えるための知恵を大特集!!

頭にかかる電車の吊り広告を避けた拍子に、不安を煽る箔押しの見出しが目についた。
190cm超の長身で、周りより高い位置に頭がある三谷と広告の距離は近い。
ズレてしまった伊達メガネを指で押しあげつつ、つい流し読んだが。
隕石墜落に宇宙人襲来、もしそれが本当に起こることなのだとすればどれも人類にとって一大事。
それを、大衆紙の記事を読んだだけで自分になら乗り越えられると思える人間はある意味幸せだなと達観した気持ちになった。

不安を煽られる人間が多いから、そこにつけこむ新興宗教や怪しい薬の売買団体が続々乱立。
近年、警察の手が回らない死角が増えている。
刑事部長がいくら豪腕でも、毎度毎度テリトリーを越境して宗教団体絡みの事案をこちら側に引っ張ることなんて本来出来ない。
それを、今年に入って半年の間に十件超回されている。

毎度毎度、「コレは文哉に任せよう」と算段した叔父は、本人の同意なく交番勤務のシフトを直々に調整し待ち構えている。
本人は、俺を直属の部下にした方が調整が楽なんだがなぁとボヤいていたけど、十分手際が良い。

「これはあくまで自分からの特命だ」と表向きの理由を念押しされ、今回は宗教団体の内定調査のために極秘潜入しろと仰せつかった。
公安の案件に、刑事部ですらない所轄が首を突っ込む不自然さ。
三谷が抜ける度に上司は不満げだが、刑事部長には逆らえないので有耶無耶にされている。

三谷がこんなことを始めるようになったのは五年前からだ。
続々振られる仕事の数を数えるのは、早い段階から止めていた。
数のノルマがあるわけでは無いし、数をこなしたところで終わりが近づいている実感が沸かないからだ。
今回も細かいことは考えず、目の前の案件を精査するだけだ。

三谷は、吊り広告から今朝渡された資料へ切り替え頭の中で内容を反芻する。

現世に降臨した創出のΩを教祖と崇め、人々を救うべく活動の輪を広げている、とか。
出だしからしておかしい。
Ωなんて今どき表立って使う単語じゃない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

水仙の鳥籠

下井理佐
BL
 ※全話加筆と修正をしました。  とある遊郭に売られた少年・翡翠と盗人の一郎の物語。  翡翠は今日も夜な夜な男達に抱かれながら、故郷の兄が迎えに来るのを格子の中で待っている。  ある日遊郭が火に見舞われる。  生を諦めた翡翠の元に一人の男が現れ……。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

上手に啼いて

紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。 ■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。

【完結】番になれなくても

加賀ユカリ
BL
アルファに溺愛されるベータの話。 新木貴斗と天橋和樹は中学時代からの友人である。高校生となりアルファである貴斗とベータである和樹は、それぞれ別のクラスになったが、交流は続いていた。 和樹はこれまで貴斗から何度も告白されてきたが、その度に「自分はふさわしくない」と断ってきた。それでも貴斗からのアプローチは止まらなかった。 和樹が自分の気持ちに向き合おうとした時、二人の前に貴斗の運命の番が現れた── 新木貴斗(あらき たかと):アルファ。高校2年 天橋和樹(あまはし かずき):ベータ。高校2年 ・オメガバースの独自設定があります ・ビッチング(ベータ→オメガ)はありません ・最終話まで執筆済みです(全12話) ・19時更新 ※なろう、カクヨムにも掲載しています。

僕のポラリス

璃々丸
BL
 陰キャでオタクなボクにも遂に春が来た!?  先生からだけで無く、クラスカースト上位の陽キャ達も、近隣に幅を効かせる不良達からも一目置かれるまるで頭上の星のようなひとだ。  しかも、オタクにまで優しい。たまたま読んでいたボクの大好きなコミック「恋色なな色どろっぷす」を指差して、「あ、ソレ面白いよね」なんて話しかけられて以来、何かと話しかけられるようになっていった。  これだけだとたまたまかな?と思うけど距離も何かと近くて・・・・・・コレ、ってボクの勘違い?それとも?  ・・・・・・なぁーんて、ボクの自意識過剰かな。  なんて、ボクの片思いから始まる甘酸っぱいお話。  みたいなBSS未満なお話。  

恋と脅しは使いよう

makase
BL
恋に破れ、やけ酒の末酔いつぶれた賢一。気が付けば酔っぱらいの戯言を弱みとして握られてしまう……

刺されて始まる恋もある

神山おが屑
BL
ストーカーに困るイケメン大学生城田雪人に恋人のフリを頼まれた大学生黒川月兎、そんな雪人とデートの振りして食事に行っていたらストーカーに刺されて病院送り罪悪感からか毎日お見舞いに来る雪人、罪悪感からか毎日大学でも心配してくる雪人、罪悪感からかやたら世話をしてくる雪人、まるで本当の恋人のような距離感に戸惑う月兎そんなふたりの刺されて始まる恋の話。

処理中です...