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日曜日の訪問者
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朝起きて、またスナがいて、俺は頬を緩める。
「スナ、おはよ」
「んん‥早川‥?」
ふふ、名前呼び戻ってる。
「体調は‥?‥」
俺の頬に触れるスナの手に目を細めた。
「大丈夫。もうすっかり元気」
「よかっ、た‥‥
スゥ‥」
二度寝してるし‥
朝が弱いらしいスナの頭を撫でる。
俺は幸せだなって微笑みながら、スナの寝顔を眺めていた。
‥
少し経つと、スナが慌てたように目を覚ました。
二度寝は想定外だったようで、出発時間を過ぎたとしょぼくれている。
俺はそんなスナを慰めて、作っておいた朝ごはんを食べさせてから
一度スナの家に寄って準備をすることになった。
軽く準備をして2人でスナの家に行く。
スナが服を着替えている間に、
ふいに、チャイムの音が鳴った。
「‥?何も頼んでねえはずだけど」
「俺、見てこようか?」
「すまん、頼む」
スナが半裸で首を傾げるから、代わりに俺が対応しようとドアを開けた。
「はい‥、!」
「‥っ、早川‥」
ドアを開けると、見慣れた茶髪の青年がいて。俺を見て顔を歪めた。俺はギョッとする。
八谷ッ、なんで‥
「‥スナいる?」
「‥その‥」
熱の日の記憶で無意識に手が震えた。
言いたくない。嫌だ。
だって今日はスナと‥
俺はグッと拳を握りしめる。
「はぁ‥スナに用があるんだけど、そこどいてくんない?」
「ごめん、八谷‥今日はっ」
「今日は用があるから帰ってくれ」
「っ、」
背後から手が伸びてきて、俺が支えていたドアが軽くなる。
スナが来てくれたのだと分かって、俺の背中に触れるスナにとてつもなく安心した。
「っ‥俺、ずっとここで待ってるから」
「おい、だから」
「!その荷物、どっか出かけるのか?そうだ、夏樹も心配してたぞ早川のこと。鈴鹿だってさ。俺達もいいよな!だってスナ皆んなで行けばいいってそう言ってたもんな。ほら、みんな来いよ‥。隠れてないでさ。」
捲したてる八谷。その背後から声がして、俺は目を見開いた。
「ちょっとハチ!俺はそんな無理矢理行く必要はーー」
「まって、どういう状態なん‥?スナくんの家に早川くん‥?」
慌てたように近づいてくる鈴鹿と、‥夏樹。
八谷の笑顔にぞわりと嫌な予感がして、胸が締め付けられる。
そうだ、俺‥夏樹になんて言ったら。
夏樹の顔が見れない。ドクドクと心臓が嫌な音を立てていく。
「な、いいよな?早川ーー。」
「っ、」
八谷がニコニコと微笑む。
俺は‥今日は、スナと‥出かける予定で。
久々の2人きりで嬉しくて‥舞い上がって‥。
ずっと、スナと過ごせて、夢みたいで、楽しくて‥。
「ハチッ‥ごめんね風太‥」
ふいに、夏樹が申し訳なさそうに、そして切な気に俺を見つめた。
「えーと‥なんか雲行き怪しない‥?俺全然ついていけてないねんけど‥」
鈴鹿が、少し困惑しながらも、俺の事を怪し気に睨みつける。
そうだ‥皆んなの事‥考えてなかった‥
自分のことばっかりで俺‥
自分だけが幸せで‥それって、いいのか?
「おい、お前ら帰れ‥っ、早川?」
スナの腕に触れる。その手は誰が見ても分かるほどに震えていた。
「お、俺‥」
「なぁ‥一緒にいってもいいだろ?早川?そこでハッキリさせようぜ。」
「っーー。」
はっきりーー、そう八谷が言う。
俺は、ぎゅっと一度目を瞑って、そして覚悟を決めた。
「いい加減にッ」
「わかった。皆んなで行こう。」
「は?早川‥なんで?今日は」
「ごめん、スナ。俺が、ハッキリさせないといけないこと、あるんだ。」
俺は夏樹の顔に視線を向ける。
夏樹は俺の言いたいことに気づいたようで、少し悲しそうに微笑んだ。
「ッ、‥わかった‥。」
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