【完結】恋した君は別の誰かが好きだから

海月 ぴけ

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幼馴染①

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俺は2人を堂々と見つめた。
宣戦布告。みたいなものだろうか。
心なしか、スッキリとする胸の奥。溜まっていた膿を出したかのように。

もう、遠慮する気はない。俺は、スナが好きだからーー。


「おかしいって‥こんなの、おかしいじゃんか‥」

「ハチくん?」

そんな俺を見て、フラフラと後ろに後退していく八谷。その先は、スナがいる場所。
そして、公衆トイレの横は崖だーー。


「っ、」

俺は寒気がした。すぐに八谷を止めるために、動き出す。


「‥?お前らどうした、ってハチっ、後ろちゃんとみろ!!危ねえだろ!?」

パラパラと、八谷の足元が崩れて、俺はほっと息を吐く。

戻ってきたスナが間一髪八谷の服を掴んで、危機を脱した。

そう思ったーー。

「、す、な‥


っ!!ーー」

近づいてくる俺の顔を見て、顔を歪める八谷。ぞっとした。
スナの腕を掴んで、そのまま後ろへと勢いよく落ちていく2人。

世界がスローモーションに見えて、俺は急いで手を伸ばす。

「はやっ、っ!?」

だめ、だめだ!?待って!?

「スナッーー!?」

崖の下、転がり落ちる2人の姿が消えた。
一瞬足を止めていたから、距離がありすぎた。手を伸ばして、それでも掴めなくて。
間に合わなかったーー。

俺は呆然と、崖の下を眺める。体中が震えて、息ができない。

絶対に助けるって‥約束したのに。

「落ちた!?やばいって、どないしよ!救急車呼んだ方がええ?!」

「嘘でしょ‥なんで、っ、山に入ってから圏外で電波がないよ。そうだ!山道に入る前の道路で、救助隊がいるってポスターに書いてた!」

「っ、焚き付けた俺のせいや‥ダッシュで行ってくるッーー。」

慌てたような夏樹と鈴鹿の声が遠くに感じて、だけど自分の心臓の音が大きくてよく聞こえない。

俺はフラフラと立ち上がる。


「俺、見てくる‥どこかに降りるところあるはずだから‥」

「え?!まって!風太1人じゃ危ないよ!?」

グッと夏樹に手を握られて、それでも俺は進もうとする。

「風太っ!ねえ!?落ち着いて!」

「っ、こんな高いところから‥頭とか打ってたらっ、間に合わなかったら‥」

もし、‥もしスナに一生会えなくなったら‥?


ぎゅっと、背中があったかくなって、俺はハッと目を見開く。

夏樹が俺を抱きしめていた。
うるさかった心臓が少し落ち着いて、その代わりに目元が熱くなる。

「っ、わかった、わかったから‥2人を探しに行こう。一緒に、俺も行く。だから、少し落ち着いて?ね?」

「っ、うん‥うん、ごめんっ」



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