26 / 43
序章
横暴と田中
しおりを挟む「は、はいいいいっ!?田中はここですよおおお!!」
「っわ、!?」
誰かに呼ばれて、
ガシッとルクさんの肩を掴み、離す。
び、びっくりした‥
俺、このまま心臓だけ飛び出てしまうかと思ったわ‥
目をパチクリと大きく開閉する彼女の視線から、俺は目をそらした
「田中っ!こんなとこにいたのか!!探したんだぞ!?つか、この子は‥?は!まさか!俺らが一晩かけて探し回ってたってのに、女の子ナンパしてるなんてな‥この野郎!羨ましいなおい!」
「痛い‥木下?なんでここに‥つか、探し回ってた?」
ガシリと俺の首に腕を回す木下。
お前、細ゴリラやねんから、力加減気をつけろよな‥
それにしても、追い出しておいて、探し回ってたやと?
随分勝手なことで
「‥何が違うだよ。こんな綺麗な人捕まえて、田中くんも隅に置けませんね~」
「はあ‥お前キャラ変わってんぞ‥。で、何の用?」
「そうだ!村上が昨日城を出たんだ‥。俺たちが気付かないうちに‥。っ、あいつ一人で突っ走るから心配でさ‥、それに田中の事も心配だったんだぞ‥村上のために気を利かせ自分から出て行くって申し出てくれたのに、一人で心細かっただろうし心配で‥。だから田中、村上を探すために、そしてまた仲間として帰ってきてくれるよな?」
「は‥?」
まってや、
そんなん意味がわからん。
自ら申し出た?
それはお前らがっ
くそ、こいつ
都合よすぎるやろ?!
「な!ほら、城に戻ろうぜ田中!!」
ガシッと宮殿の魔法陣がある方へと引っ張られる。
勝手に邪魔者扱いしておいて‥
次はあの我が儘男を探すために帰ってこいって‥?
ふざけてる‥
「いやや‥」
「え?」
俺に向けて放たれた赤黒い炎が頭によぎって‥
めっちゃ痛かったし、苦しかった‥
村上の後ろに巻きついた黒い影。もがく俺を見て笑ってた。罵られた記憶はまだ新しくて、震える手がバレへんように、ぎゅっと握りしめる。
「いややって言ったんや!!」
「た、田中?」
ああ、くそっ
「村上は自分から出て行ったんやろ。俺は関係ない。それに、俺を追い出しといて、今更そんなこと言われても、困る」
「追い出したなんてそんなッ!田中くんは自分から出て行くって言ったじゃない!!」
「アンタとは話にならん。黙っといてくれへんか?」
「っ、酷いッ」
そう言って涙を流す‥振りをする倉本さんを見て、呆れる。
「俺はお前らと違って、心から優しい人に沢山助けられた。仕事ももらえたし、この王国で生活していく術も援助でなんとかなるやろう。だから心配せんでいいし、ほっといて。」
「田中‥何があったか知らないが、無理して強がるなよ‥。俺達が悪かったからさ?ほら、これからは田中も入れるように努力するし!な、琴美!」
「あたりまえよ‥田中くん、入りづらい空気作っちゃってたみたいでごめんね?これからは、一緒に秋を探そう?」
話を、聞けやッ
「お前らなッいい加減にッ」
「もしかして‥その女のせいなの?」
「は?」
倉本さんの視線の先に、俺は背筋を凍らせる。
ニヤリと笑う倉本さんに怒りが溢れた。
「きっとそうよ!夕!あの女、田中くんに何か吹き込んだんだわ!!」
「その子が‥?」
「へ‥?」
困惑するルクさんの前に立つ。
最悪やこいつら?!
「まて!違う!?ルクさんを巻き込むな!?」
「‥ねえ、そうなんでしょ?答えなさいよ!」
「っ!?」
グイッと俺を押しのけて、ルクさんに詰め寄ろうとする倉本さんを必死で押さえる。
「やめろっ!!彼女は関係ないッ!!」
「‥じゃあ、一緒に城に戻ってくれる?」
「は」
ギュッと抱き込まれた腕。
それに俺はサブイボを栽培しながら、
そっと背後のルクさんに視線を向けた。
「あ、あの‥タナカ様‥?」
純粋な瞳。
自分が何かしたのかと焦ってる。
こんな優しい人を‥ッ
「わかったから‥」
ぶらりと離した手。
もう触れたくもない
「本当に?!よかったー!!じゃあ早く帰ろ?」
グイッと手を掴まれて吐き気がするのを我慢しながら、
彼らの言う通り大人しく歩く。
「すまん。田中、琴美も混乱してるんだ‥許してやってくれ」
「‥。」
すれ違いざま、そんなことを言われたが、
俺はただ無表情で聞き流した。
「よし!行こう琴美、田中。」
「うん!っ、田中くん?」
「‥、」
ポカンとしてるルクさん。
この状態についていかれへんのやろ。
その気持ちわかるわ‥
俺は力を入れて倉本さんの腕ごとその場で止まる。
とりあえず挨拶、しとかな
「‥ルクさん‥俺、行くわ‥」
「あっ!は、はい‥」
あと、
「あの‥
ありがとうな‥」
俺は恥ずかしくてたぶん真っ赤やと思う。
だけど、嬉しかったから。
初めて、俺の目を変じゃないって言ってくれた彼女に、めい一杯ニカリと笑いかけた。
「っ!!」
「それじゃあ!!また!!」
「はい!!また、お会いしましょう!!タナカ様!!」
この人は、絶対に守るーー
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる