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第1章 冒険の始まり

決心する田中

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「まずはアイツ村上に‥この事を伝えなあかん‥ドラゴン狩りは禁止されてるってことと、この国の伝説も全て‥」



まあ、知っているなら話は別やろうけど‥



「はい‥説明する機会を逃してしまった私どもに落ち度があります‥しかし、どこに滞在しているのか‥」


「うん‥分からんから、難しい‥」

「それに、アイツはドラゴンキラーを持ってたわ‥被害をこれ以上増やさないためにも、急がないと‥」


「ドラゴンキラーッ!?リガル様とイリス様が封印したはずっ?!まさか、そんな‥く、王様がお眠りになられている今、私がなんとかしなければ‥っ」



王女さんがグッと拳を握りしめる。
国の頂点に近い立場‥
とてつもないプレッシャーと責任が押し寄せてくるやろう


だけど、この人は頑張ってる
国民のため、そして国の為に‥かっこええな‥






「あ、あの、私少し頭が痛くて‥部屋に戻ってもいいかな?」

タイミングの悪い
倉本さんのそんな言葉に俺はイラっとした。


自分達と関係ない事やと思ってそう。
国が滅びたら、俺らも無事では済まへんってのに‥


しかも原因は、あの男‥



「ッ、そう、ですね‥もう遅いですし、皆様は休まれてください‥」

「‥リーネはどうするんだ?」


木下がそう問いかける。
見ればわかる。顔色が悪いし、この人不安でいっぱいなんやって

それやのに


「この国は、私が守らなくてはなりません。もう少し、もう少し考えます」


こんなにも逞しくおろうとしてる



「分かった‥俺は琴美につきそうよ。何かあったら、すぐに頼ってくれよな!」



ああ、もう!?なんでそんな彼女に付き添うたれへんねん!!アホ木下!!

頼ってって、今がその時やろ!!





「ありがとう、ございます‥」


必死に平然を装う彼女を見て、
俺は口を開く



「俺は、王女さんに付き合うわ。」

「私も」


ルビー‥


「っ!!タナカ様!ルビー様!」


「え?おい、邪魔になるって!ほら、お前らもかっこつけず大人しく休めよ!!」


「邪魔になるのは悪いけど、俺気になったら寝られへんから‥王女さん、この事をすぐに、王国の管理手伝ってる偉い人達に伝えられる?」

「はい。念話でなら!」



こういう時、隣に人がいるだけでも、
結構不安って和らぐもんやと思うし



それに、この国には、ルクさんや沢山の優しい人達がいるって俺は知ってるから

俺にタダで食べ物くれた屋台のお姉さん

サンドイッチを作って俺にまた来てと言ってくれたフレットさん

怪しい俺にも色んなこと教えてくれた受付のお姉さん

俺の目を変じゃないって言ってくれたルクさん


そして、

俺を助けてくれるあの少女ーー


優しくされたら返せって、
ウチの親からの教えやし




「っ、お、おやすみ‥あんま無理すんなよ!」




異世界って未だに信じられへんけど、



「それじゃあすぐに、」


「分かりました!」



少しでも関わったからには、
優しくしてもらったからには
ほっとくわけにはいかん。
目の前で困ってる人がいたら助けるの当たり前やし




「ッ、、、」




「行こうよ夕?」


「あぁ‥」





俺も出来るとこまで協力する

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