希望を歌う悪の姫

孤独な日々からの解放

魔法学園

重いドレスを脱いで、規定の制服に着替える。ローブを羽織ったら、さあ、ドラゴニア魔法学園の生徒。ラピス・クローリーの誕生です。



友人と楽しくはしゃぐ者、緊張した表情の者、不安そうな者、

こんなに沢山の人間を見たのは、
5年前のパーティー以来、


ああ、ここは人間で溢れておりますわ。

なんて素敵な場所‥


「あれって‥」

「クローリー家の‥」

コソコソと話し始める生徒達を無視し、
入学式用の席へと向かう。

一歩踏み出すたび、
やはり、人々の視線を感じるが、


5年前とは違い、緊張で動かなかった表情が、ゆっくりと微笑み、固まっていた身体は嘘のように軽い。



こちらを見てコソコソと話していた男子生徒達に微笑むと、顔を赤くして固まってしまう。


完璧な笑顔。
美しい姿勢。優雅な振る舞い。


ふふ、わたくしだって、成長しているのですよ？


どうですか？お友達になりたいでしょう！？


ふふふ、さあ、いらっしゃい‥皆さん
ふふふふ‥



「入学おめでとう。ようこそ、ドラゴニア魔法学園へ。ここでは、身分を関係なく、皆に様々な体験をしてほしい。知らない文化を見聞きして、より大きく成長して欲しいのだ。よって身分を振りかざす行為は禁ずる。
さあ、堅苦しい話はここまでだ！未来溢れる子ども達よ、沢山仲間を作り、青春しなさい！！」





歴代ギルドマスターである校長先生からの話が終わり、
熱く騒めく会場の中で、
私は一人怪しげに微笑んでいました。





好奇の視線以外の、
誰かにジッと見られているとも知らずに‥。