希望を歌う悪の姫

花村 ネズリ

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ペア戦開幕

第1戦目

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先生「第1試合 1ーANo.2対2ーC No.11」


わたくし達のペア番号はNo.2。
この番号もランダムで決まります。
なぜNo.1ではないのかと、リカルド様は先生に抗議していました。


相手は、2年生の先輩。
リカルド様を見て焦っていましたが、
わたくしを見ると、安堵したように息を吐きました。

それもそのはず、
ルールは、相手の片方を気絶させれば即試合終了。

リカルド様と戦わなくても、わたくしを狙えば勝ちです。



先生「第1試合 開始ーー」



だけど、そこは対策済み。




「おらあああ!!」


リカルド様には見向きもせず、
一直線にこちらに向かってくる男子生徒。


わたくしは、即座に日傘を空へとかざし、
詠唱を唱えます。


「水よ 天より出でし その雫 守る傘となれ   


ーー水魔法 アンブレラーー」



クローリー家は、代々、回復魔法に特化した一族。

ですが、身分も低く、元庶民出という理由で、

戦争になると必ず、前衛部隊の回復係として配置されてしまいます。



生き残る術はただ1つ、
敵からの攻撃を防ぎ、自らを守る防衛魔法を身につけ、それを極める事。



カキンッーーー

「くそっ!!なんだこの水の膜!?
多種魔法の組み合わせか‥!?だがっ、
この程度の防御魔法容易く破れるさ!!おりゃ!!」

ラピス「まあ!これでも頑張って組み合わせましたのよ!?容易く破られるなんてっ!!
そんなこと!?」

「へへ!!後輩ちゃんよ、あんまし、先輩を甘く見たら駄目だぜ?
おい!相棒!援護しろ!!この水の膜ぶっ潰す!!」

「おう!!」

そして、





ラピス「まあ、大変2対1なんて‥後ろがガラ空きですわよ?」




ルド「何処を見ている!この下等生物が!はああっ!!」


「なっ!?いつのまに!?おい!後ろ!!」


自らを囮にし、
敵の目をそらす事で、味方に有利な立ち位置を踏ませる事。



「へ?ッ!?グアッーーー」




先生「そこまでーー勝者、1ーANo.2」






「ふう‥人気者も困りますわ‥」


ルド「誰が人気者だ‥。はあ、防御魔法を使えるのなら、最初からそう言え!貴様がやられたと思い、一瞬焦っただろうが!!」

「まあ!レディが隣にいるというのに、油断していたリカルド様が悪いのですわ。」

ルド「この女っ!?‥っ、く、もういい。とりあえず、一勝だ。
されど、たかが一勝、気をぬくなよ‥」


「分かっていますわ‥」




こんな戦略では、いつまで持つか‥。
リカルド様は分かっているはず‥
わたくしに出来ることは、限られていますわ。

ですが、足手まといにならない為なら‥
どんな事をしても‥


ルド「おい、似合わない顔をするな」


ラピス「ッ、」


リカルド様に睨まれ、ハッとする。


ルド「可笑しな事を考えるな。
俺が全て倒すと言ったはずだ。

お前は自分を守る事だけ考えていろ。」



はあ‥、何故この方はいつも私の思考を読み取ってしまうのでしょうか‥


はっ!!これはもしや!友情の力っ!?


 ルド「おい‥貴様、また変な事を考えているな‥」


ラピス「ふふ‥次の試合が楽しみですわね!」

ルド「‥はあ‥」



ああ、リカルド様。
わたくしは、
欲深い汚れた血を受け継いでいるのですよ?

目的の為なら‥手段は選びませんわ


ですが、
貴方が全ての敵を倒すというのなら、

ふふ、
その言葉、信じましょう‥
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