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ペア戦開幕
毒の針
しおりを挟むルド「な、に‥?」
目の前まで迫っていた毒針の球が、
急に目の前から消える。
リカルド様のカウンターが、発動するも、
対象がない今、
どうする事もできない。
ラピス「二重魔法‥、これでは光に反射できないーー
ほんと、知とは恐ろしいものですわ。
リカルド様、次はわたくしの番ですわ。
後ろにお下がりください。」
ルド「っ!俺に命令するな!!」
ラピス「いいから早く!!」
ルド「っ!?くそ!」
同属性だからこそわかる。
目には見えないけれど、手を伸ばせばもう届いてしまうその針に、わたくしは自ら触れる。
ラピス「っ、」
ルド「お、おい、貴様‥っ、」
感じるのは痛み焼けるような身体が溶けるような苦しみ
アル「っ、ラピス!?リア!もうやめろ!!」
リア「っ、その汚らわしい名を!!貴方の口から聞きたくない!!!!」
じわりと肌が変色するのが分かる。
わたくしは痛みを堪えながら、
その手を伸ばし、声を発する。
ラピス「ひとつおちてはじまる
絶望の唄をーーー
貴方にーー」
苦しみを
痛みよ
絶望よ
その型を変え共有しなさい。
発動せよ。
絶望の舞ーーーー
リア「ッ!?痛いっ!?いや!?肌が焼けて!!なんで?!どうして!きゃああ!!いや!!いやあああ!!」
刹那、聞こえてくるのは、
ひとりの少女の悲鳴。
彼女が見るのは夢。
わたくしが見せる幻。
感覚を共有したわたくし達。
さあ、わたくし達は今
ひとつになっているのですよーー
リア「いやぁ、肌が熱い!?痛い!?助けてアルベルト様!?!」
アルベルト様に縋り付くリア様。
その身は傷ひとつついていない。
異様なその光景は、
周りを混乱させる。
アル「り、リア?どうしたの?なにがっ!?」
リア『どうして私はアルベルトを助けられないのに‥どうしてあの女は!!
やめて!あの女の名前なんて聞きたくない!
アルベルトは私のものなのに!!
いや、いやよ!
とらないでーーーー』
リア「ゔ‥いやああああ‥っ、、」
アル「え?りあっ!?」
ゆっくりと倒れるリア様を、
アルベルト様が抱きとめる。
その体は私と違い無傷で、
私は歌い踊り狂いながら、
自らの血で汚れた身体。
嫉妬で狂った心に、その声に、
感動し、
涙を流す。
ラピス「ああーー素敵ね。
生命の泣き叫ぶ声がするわーー」
これが人間。
美しさを醜さで失いかけた儚い少女の話。
アル「君は‥いったい‥何者なんだ」
ふと、舞う事を止める。
わたくしが‥何者‥?
そんなの決まってますわ。
ラピス「ふふ、おかしな事を聞きますわね‥。
わたくしは‥ただのラピス・クローリーですわ。
それ以上でも、それ以下でも
許されませんーーー」
ゆっくりと濁った双眼で、
わたくしは、わたくしを捕らえる黄金に微笑んだ。
ルド「貴様はっっっ!!!
馬鹿か!!」
ペシッーーー
っな!?
ラピス「いっ!痛いですわ!!?リカルド様レディに対して頭を叩くなんて!?」
急に頭を叩かれて、驚く
本当にっ!?なんなのですか!!
ルド「うるさい!!騒ぐな動くな!!おい!さっさと判定を出せ!!」
先生「あ、ああ。
今年度のペア戦優勝はっ、
1ーA No.2!!
リカルド・クラウンとラピス・クローリーだ!!!!
2人には後日、優勝商品としてーー」
ルド「そんなのは後だ!怪我人がいるから、先に控えに戻るぞ!!ほら、来い!!」
ぎゅっと握られる腕。
焦る表情。
ラピス「どうしてーー」
あんなに優勝したがっていらっしゃったのに‥
喜ぶどころか、
何故‥?
傷など痛くありません。
焼けるような熱さなど慣れています。
なのに‥
温度の高いその手に、
何故か心がぎゅっと締め付けられて
わたくしは初めて、顔を見られないよう俯いて歩いた。
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