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聖女召喚
本当の顔
しおりを挟む「ルド‥」
最後なんて、そんなことを考えていると、
なぜか胸がギュッと締め付けられて、首を傾げた。
ルド「‥どうした?」
「‥いえ、何でもないですわ。水も手に入りましたし、戻りましょうか。」
ルド「‥ああ‥。」
そっと種を返そうと、来た道を振り返った時です、
聖女「っ!?ーーリカルド!!」
「っーー」
わたくしの横を駆け抜けて、
ルドに抱きつく聖女様。
ルド「っ?おいっーー」
聖女「クランから聞いたの‥私と恋人になる人が‥次の王様になるんだってっ、
だから、第一王子のアルベルトさんが私の結婚相手になるんだってっ!?いやーーわたしーー初めてこんな気持ちになったのに‥私はリカルドとーーー」
聖女様の甘い瞳。甘い声。
辺りは桃色に色づいてーー
ああ、これが現実なのだと、
自分の中の冷めた心が、私を闇へと突き落とす
御父様の命令など、最初から従う気はない。
もし、オニキスお兄様以外の方と彼女が結ばれたなら
オニキスお兄様の存在価値はなくなる。
最悪、お父様はルドと友人で繋がりのあるわたくしを当主にするだろう。
わたくしが当主になれば、
お父様達をこの力で制して‥
オニキスお兄様を自由にさせてあげられる。
お兄様が望むのなら、お父様を排除した後、
当主を譲っても構わない。
そうなれば、わたくしは影でお兄様の駒となればいいーーー
これは、この目の前の光景は、
わたくしの計画通りーー
間違ってなどいないのだーー
だから、動揺する必要などない
なのにーー
聖女「ふっ、グスッ、」
ルド「お、おい‥なんなんだ一体っ。クランはどうした!!くそ、何故泣いている?、」
困惑するルドと泣きじゃくる聖女様。
ルドは困った顔をしながらも、
そっと聖女様の背中を慰めるように叩いていて。
わたくしは、きっと
光を浴び過ぎてしまったのですね。
何もできないわたくしは、
二人をそっと見つめた。
クラン「ちょっと待って!リン!?誤解だよ!!!別にアル兄さんじゃなくてもいいの!リンに選ぶ権利があるんだ!!
俺はただ、アル兄さんが1番王にふさわしいって事がいいたかっただけ、で‥って、
っ、ラピス‥?」
息を切らして聖女様を追いかけてきたクラン様。
何故か、話の途中で
わたくしの顔を見て、驚いた表情になる。
「‥?」
クラン「どうして、そんな顔をしているの?」
クラン様が真剣な顔つきで、わたくしに勢いよく近づいてくる。
顔‥?
わたくしは、普段通りに、微笑んでいられているはずですわ。
「‥ふふ‥おかしいですわね‥わたくしはいつも通りですわクラン様?‥」
クラン「‥俺ね、人の本当の顔が見えるんだ。その人が仮面の下に隠した本当の顔。」
「え、ちょっとっ、」
ギュッと手を握られて驚く。
「な、に‥」
わたくしを見つめる黄金の瞳は、全てを見透かされているようで、目を逸らしたくなる。
クラン「君の本当の顔はねーー」
誰か助けてって、泣いてるよーーー
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