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聖女召喚
心の奥
しおりを挟む耳元で囁かれたその言葉に、目を見開く。
違う。馬鹿馬鹿しい。
そんな訳ありませんわ。
「‥冗談がお上手なのですね。」
なんでもお見通し、
そんな顔で優しく微笑むクラン様に、
ぐっと唇を噛み締めた。
ルドがこちらの様子を心配そうに伺っている。
聖女様は、まだルドの胸に収まっていて‥
わたくしが、こんなーー
なんと惨めな‥
クラン「ラピス、」
「っ、わたくし、気分が悪いので、先に失礼致します。」
クラン「っ!?まって!」
ルドだって、わたくしの心の奥までは読み取れない。
ただ、ルドは強力な魔力と、人々を支配するオーラを持っています。
特殊な能力ですか‥
人の上に立つ能力が生まれながらに身についているとは、根っからの王の才能の持ち主達ですわ。
わたくしは、茂った草木の間を走る。
森はわたくしを隠してくれる。
これだけ離れれば追いつけない。
わたくしは、ほっと一息をついたーー
クラン「もう、ラピス、見た目によらず速いよ~」
「っな!?」
な、何故?!追いついて!?
クラン「ん?なんだか驚いてるみたいだけど、近衛騎士の副団長様なめないでよね?
それにしてもこの森、ラピスを隠すように動くからちょっと危なかったけど、
この程度なら、まだ楽勝かな。
ね、さっきの続き話そうよ。」
「‥。」
ギュッと再度握られる手。
たぶんですが、クラン様の能力は、
触れることで、更に深くを視る事ができるのでしょう。
じっとわたくしの顔を見つめる黄金の瞳。
逃す気はないようですわね。
お節介ーー
お節介くそ野郎ですわーー
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